【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆先週の血統ピックアップ
・1/9 フェアリーS(GIII・中山・芝1600m)
後方を追走したキタウイングが最内から突き抜けました。コースロスなく内ラチ沿いに進路を取った杉原騎手のファインプレーです。父ダノンバラードはディープインパクト産駒の内国産種牡馬で、現役時代にアメリカJCCを勝ちました。2015年から日本で2年間種付けをしたあと、2017年にイタリアで、2018年にイギリスで供用され、2019年に買い戻す形で日本に帰ってきました。
三冠馬コントレイルと同じく「ディープインパクト×アンブライドルド系」という配合構成で、2代母はデヴィルズバッグやグローリアスソングの全妹にあたる超良血。アメリカ血統が強いので、配合次第で芝向きの産駒もダート向きの産駒も出せるタイプです。
これまでロードブレスがダートグレード競走の日本テレビ盃を勝ったほか、ナイママが札幌2歳Sで2着、グラニットがサウジアラビアロイヤルCで2着となっています。キタウイングは芝で重賞を勝った初めてのダノンバラード産駒。パワー型の血を抱えているので、時計の掛かる馬場になればさらに良さそうです。
◆今週の血統Tips
正月開催の4日間を終えた時点で、JRA種牡馬ランキングは、1位ディープインパクト、2位ハーツクライ、3位モーリスの順。いずれも重賞勝ち馬を出した種牡馬です。3位モーリスは昨年の暮れ、シャトル供用先のオーストラリアから帰国しました。オーストラリアで供用されるのは通算5回目。新型コロナの蔓延で2020年は中止となりましたが、それ以外は皆勤賞です。
社台スタリオンステーションでは、他にアドマイヤマーズがオーストラリア、サトノアラジンがニュージーランドでシャトル供用しています。これらは春秋の2回種付けを行っているわけですから、タフとしか言いようがありません。アドマイヤマーズ産駒のデビューはまだですが、モーリスとサトノアラジンは現地で複数の重賞勝ち馬を出しており、人気を集めています。
ちなみにモーリスは昨年秋、160頭以上に種付けをしたとのこと。すでにGI勝ち馬2頭を含めて3頭の重賞勝ち馬を出しているので、今後も頻繁に産駒が活躍するニュースが流れてくることでしょう。
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