【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・1/15 日経新春杯(GII・中京・芝2200m)
 好位のインを追走したヴェルトライゼンデが馬場中央から抜け出しました。昨年6月の鳴尾記念以来となる重賞制覇です。この2レースはいずれも中京競馬場が舞台。3歳秋の神戸新聞杯2着を含め、中京コースでは3戦してすべて連対を果たしています。

 また、同じ左回りの東京競馬場では日本ダービーとジャパンCでいずれも3着。つまり、左回りでは一度も馬券圏内を外したことがありません。母マンデラはドイツの名馬マンデュロ(ジャックルマロワ賞などG1を3勝)の半姉にあたる良血で、現役時代に独オークス(G1・芝2200m)で3着となったスタミナタイプ。

 繁殖成績は素晴らしく、ヴェルトライゼンデの他にワールドエース(マイラーズC、きさらぎ賞)、ワールドプレミア(天皇賞・春、菊花賞)を産んでいます。

 父ドリームジャーニーは三冠馬オルフェーヴルの全兄で、有馬記念を勝ったときの馬体重が426kgと、このレベルの名馬にしてはかなり小柄な馬でした。

 産駒の平均馬体重が450kgに満たないようにサイズの小ささがネックとなっているのですが、重賞で上位争いをした産駒は、ミライヘノツバサ、トゥラヴェスーラ、トオヤリトセイトもそうですが、平均馬体重を大きく上回るものが目立ちます。

◆今週の血統Tips

 種牡馬グレーターロンドン(父ディープインパクト)は、受胎条件50万円で種牡馬となり、4年間据え置きのあと、デビューを迎えた初年度産駒の活躍により、今年から一挙に3倍増の150万円で供用されます。先週、トラベログが菜の花賞を勝ってオープン入りを果たしました。

 すでに小倉2歳Sを勝って重賞制覇を果たしているロンドンプランが出世頭ですが、この2頭には共通点が2つあります。ひとつは下河辺牧場の生産馬であること。もうひとつは母の父がアフリートであること。

 グレーターロンドン自身が下河辺牧場の生産馬ですが、成功をサポートするために下河辺牧場が用意した繁殖牝馬の質は、50万円の種付け料の種牡馬に割り当てるレベルとは思えないほど優れたものです。

 優れた繁殖牝馬から活躍馬が出てきた、というごく当然の結果ともいえます。

 母の父アフリートは日高町のブリーダーズスタリオンステーションの看板種牡馬でした。同所を運営しているサラブレッドブリーダーズクラブの代表取締役は、下河辺牧場の下河辺行雄さんが務められています。ロンドンプランもトラベログも、下河辺牧場の歴史が詰め込まれた血統です。

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