【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆先週の血統ピックアップ
・3/25 毎日杯(GIII・阪神・芝1800m)
好位を追走したシーズンリッチが直線で馬群を割って抜け出しました。昨年10月に東京の未勝利戦(芝1800m)を勝ち上がり、今回が2勝目。前走の共同通信杯は6着だったので、今回は5番人気の伏兵でした。
父ドゥラメンテは同日中山の日経賞を圧勝したタイトルホルダーの父で、同じ3歳世代にはリバティアイランド、ドゥラエレーデ、シングザットソング、ドゥーラと、自身を含めて5頭のJRA重賞勝ち馬が出ています。母エバーシャルマンはフローラS5着馬。初仔のエバーシャドネー(父ルーラーシップ)は現在2勝クラスで、シーズンリッチが2番仔ですから、繁殖牝馬として優秀です。
シーズンリッチは「ドゥラメンテ×ハーツクライ」の組み合わせとなりますが、父ドゥラメンテの母アドマイヤグルーヴと、母の父ハーツクライは、いずれも「サンデーサイレンス×トニービン」という組み合わせですから、シーズンリッチ自身はアドマイヤグルーヴ≒ハーツクライ2×2、という大胆な配合構成です。折り合いさえつけば距離延長も問題ありません。
◆今週の血統Tips
ドバイワールドカップデーで日本馬が3勝。そのうち、賞金総額が最も高いドバイワールドカップをウシュバテソーロが、2番目に高いドバイシーマクラシックをイクイノックスが制しました。ドバイワールドカップの1着賞金は約9億円、ドバイシーマクラシックは約4億5000万円ですから、日本馬が大挙遠征するのも分かります。日本馬が海外のビッグレースを勝つと、その馬の血統は海外のホースマンにどう映るだろうか、とつい考えてしまいます。
ウシュバテソーロは2年連続凱旋門賞で2着となったオルフェーヴルの息子で、イクイノックスの母の父キングヘイローは、80年代のアメリカを代表する名牝の一頭であるグッバイヘイローの息子です。2頭ともわが国で育まれた血統をふんだんに抱えているので、海外のホースマンも興味をそそられるのではないかと思います。1970年代にイギリスの競馬評論家トニー・モリスが「日本は種牡馬の墓場」と書きましたが、それも遠い過去の話になったと感じます。
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