【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆相手は成長豊かな4歳馬から考えたい

 3年ぶりに京都に天皇賞が戻ってきて、新しい記録が生まれようとしている。昨年の覇者タイトルホルダーが、阪神、京都の春の盾連覇を目前に、二度とない大きなチャンスを迎えているが、昨年と同じローテーションで可能性は高いとみている。新装なった京都の初のGI戦、主役にふさわしい。

 春の天皇賞は、前年の菊花賞馬が強いというのは当然だが、前年の覇者が圧倒的に強いというのも顕著で、この10年で3頭の前年の優勝馬が出走し、その3頭が全て連覇を達成している。

 タイトルホルダーには京都が初コースというハードルがあるが、直線に坂がある中山、阪神は得意としていても、豊富なスタミナ、スピードと持久力があるので、直線が平坦な京都でも大丈夫だろう。前走の日経賞の8馬身差の圧勝は、不良馬場で時計がかかる状況にもかかわらず、昨年より速いペースで先行し、メンバー最速の上がりで達成していた。しかも59キロを背負ってだった。菊花賞、宝塚記念、天皇賞(春)と逃げ、先行で勝っているが、スタートして抜群の二の脚で出て行って、いつもレースの主導権を握ってきた。一段と強さを増し復調した今なら、まず問題はないだろう。

 これまで連覇を達成した2014年のフェノーメノは、レース巧者ぶりと勝負強さが光っていたし、2017年のキタサンブラックは、先行力とスピードを生かしていた。そして2020年のフィエールマンは、狙い通りの積極策で京都の長丁場での強さを発揮、他の追随を許さなかった。

 タイトルホルダーの戦い方もこれらに近く、初の京都でもと期待できる。

 いずれも、4歳と5歳で勝っているが、今回の相手にはやはり4歳馬から選びたい。成長の余地がある4歳馬の中で一番魅力があるのは、ジャスティンパレスだ。京都が合うディープインパクト産駒で、これまで出走した5回のGI戦の中では、菊花賞3着が一番見所があった。レコードの勝ち馬から0秒1差、有馬記念は大きく負けたが、3か月ぶりの前走阪神大賞典では馬体が増えて、好位から抜け出し成長が感じられた。その阪神大賞典では、前年の勝ち馬で春の天皇賞2年連続2着のディープボンドに完勝していた。

 同じディープインパクト産駒の菊花賞馬アスクビクターモアも無視できない。前走日経賞の9着は、デビュー10戦目で初めての大敗だったが、出遅れた上に道悪で、全く自分の競馬ができなかった。ひと叩きされ、本来の先行策で巻き返してもおかしくない。菊花賞の勝ちタイムは、同じ阪神で勝ったタイトルホルダーより2秒2も上回っていた。5か月ぶりだった前走をひと叩きした効果に期待したい。

 この3頭の次に、2年連続2着で京都で5戦2勝の6歳馬ディープボンドと、菊花賞、有馬記念、阪神大賞典と3戦連続2着のボルドグフーシュを押さえに。タフな馬で長いところは合う馬と見ている。

「春の盾 やっぱり淀が 似合ってる」

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