【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・4/29 青葉賞(GII・東京・芝2400m)
 中団を追走したスキルヴィングがハーツコンチェルトとの一騎打ちを制し、未勝利戦から3連勝で重賞制覇を果たしました。父キタサンブラックは、ラヴェル(アルテミスS)、ソールオリエンス(皐月賞、京成杯)に次いでこの世代3頭目の重賞勝ち馬。日本ダービーはソールオリエンスとスキルヴィングの2頭で臨むことになります。いずれも有力候補であり、もしどちらかが勝てば、昨年2着だったイクイノックスの雪辱を果たしてダービー初制覇となります。ソニンクにさかのぼるファミリーは日本を代表する名牝系のひとつで、すでに2009年にロジユニヴァースが日本ダービーを制しています。現3歳のフリームファクシ(きさらぎ賞)もこの牝系に属しています。大レース向きの底力に恵まれ、成長力もありそうな血統構成なので、ダービーはもちろん3歳夏以降のビッグレースでも楽しみな存在です。

◆今週の血統Tips

 NHKマイルCの過去10年間の優勝馬を振り返ると、クロフネ産駒が2回優勝しているのが目を惹きます。クロフネは基本的に直線の短いコースを得意としており、全体成績を見ると東京よりも中山、外回りよりも内回りコースのほうが優勢。しかし、なぜか東京芝1600mでは連対率24.3%と好成績。2013年以降、当コースで産駒が20走以上した110頭の種牡馬のなかで第3位です。

 過去10年間のNHKマイルCではアエロリットとクラリティスカイが優勝し、インパルスヒーローが2着となっています。父系はフレンチデピュティ→デピュティミニスターとさかのぼります。この系統はマイネルホウオウ(13年2着)とギベオン(18年2着)の母の父でもあります。NHKマイルC向きの血統といえるでしょう。今年の登録馬のなかでデピュティミニスター系に属する馬はショーモンだけ。同馬はマインドユアビスケッツ産駒です。マインドユアビスケッツはデピュティミニスター3×4。産駒は東京芝1600mで過去1戦(11番人気で12着)しかしていませんが、東京ダート1600mでは26戦8連対(連対率30.8%)と抜群の成績。ショーモンは芝向きなので東京芝1600mは合うのではないかと思います。

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