【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るセントウルS

【Pick Up】ピクシーナイト:8着

 勢力拮抗のスプリント路線。主役不在だけに10月1日のスプリンターズSでどの馬が1番人気になるのかすら読みづらい状況です。2年前、ピクシーナイトが3歳にして制覇したときは、この路線はしばらくこの馬の天下が続くかに思われました。3歳秋にスプリンターズSを制した馬は、00年以降、本馬とアストンマーチャンの2頭のみで、かなりのレアケースだったからです。母ピクシーホロウがキタサンミカヅキ(東京盃2回、東京スプリント)と同じ「キングヘイロー×サクラバクシンオー」なので、本質的にスプリンターとはいえないモーリス産駒でも1200m戦への適性があります。

 香港での落馬事故を経て、今年春に長期休養から復帰し、ここまで3連敗。ただし今回は、スタートで躓き、位置取りが悪くなったことが厳しく、大型馬の久々だけに、プラス10kgの馬体重以上に重かったのかもしれません。しかし、次走はすべての条件が好転するだけに、侮れない1頭でしょう。

◆血統で振り返る紫苑S

【Pick Up】ヒップホップソウル:2着

 好位追走から直線で抜け出したものの、ゴール直前でモリアーナに差されました。稍重のコンディションにもかかわらず、1000m通過58秒1のハイペース。それに乗じて後方から差し切った勝ち馬に比べると、厳しいレースを強いられたといえるでしょう。

 父キタサンブラックは今年の春、242頭に種付けをしました。社台スタリオンステーションに繋養される32頭の種牡馬のなかでナンバーワンの数字です(2位はコントレイルとマインドユアビスケッツの211頭)。馬産地ではキタサンブラック人気が沸騰しており、繁殖牝馬の質と量が急激に上昇を開始した現当歳以下の世代から、キタサンブラックの真価が発揮されるでしょう。

 昨年の春開催までは、中山芝の成績が悪かった(29戦2連対)ものの、昨年の秋開催以降、セントライト記念(ガイアフォース)、有馬記念(イクイノックス)、皐月賞と京成杯(ソールオリエンス)と、4つの重賞を制覇するなど41戦14連対(連対率34.1%)と好成績を残しています。ヒップホップソウルの母ダンスファンタジアは中山でフェアリーSを制覇。牝馬三冠を目指すリバティアイランドの強さは格別ですが、秋華賞が行われる京都芝2000mは、ヒップホップソウルにとって申し分のない舞台です。



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