【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る天皇賞(秋)

【Pick Up】イクイノックス:1着

 1973年12月2日、中京競馬場で行われた愛知杯で、シンザン産駒シルバーランドが芝2000m1分59秒9のレコードタイムを樹立しました。わが国で初めて2000mの勝ちタイムが2分の壁を破った瞬間です。それから50年かけて時計は4秒7も短縮されました。絶え間ない良血の輸入、馬場の整備、調教技術の進歩などが相まった結果です。

 母シャトーブランシュは、ダンシングブレーヴ、トニービン、アレッジドと、近い世代に3頭の凱旋門賞馬を抱えています。母の父キングヘイローの母は、アメリカでG1を7勝した名牝グッバイヘイローです。

 父キタサンブラックは抜群の心肺機能を武器に芝3000m以上で3戦全勝。タフな条件に強い野武士的な強さで人気を博しました。しかし産駒は、スピードと決め手を武器とした洗練されたスタイルのものが目立ちます。その最高傑作がイクイノックスです。

 キタサンブラック産駒の芝主要距離の連対率を見ると、1600mの25.2%を頂点に、1800m=23.6%、2000m=21.0%、2200m=19.4%、2400m=11.8%と徐々に下降していきます。イクイノックスは母方の近い世代に3頭の凱旋門賞馬の血を抱え、道中の折り合いがつくので距離延長を苦にしません。ただ、本質的には2000m前後がベストではないかと思います。中距離向きのスピードと決め手は、種牡馬となった際に大きな武器となるでしょう。

◆血統で振り返るアルテミスS

【Pick Up】チェルヴィニア:1着

 富士Sのナミュールに続いて2週連続でハービンジャー産駒が重賞を勝ちました。今年7勝目です。

 ノッキングポイント(新潟記念)の半妹で、「ハービンジャー×キングカメハメハ」は、ブラストワンピース(有馬記念)、モズカッチャン(エリザベス女王杯)、ローシャムパーク(オールカマー、函館記念)などが出ているニックス。2代母ハッピーパスの一族は、出走18頭中16頭が勝ち上がっており、2歳戦の東京芝では連対率61.9%(21戦13連対)という驚異的な成績です。

 前走の未勝利戦はほぼ馬なりのまま後続を6馬身ちぎる大楽勝。今回の勝利で世代屈指の逸材であることをあらためて印象付けました。距離延長は問題なく、牝馬クラシック戦線の中核を形成するであろう逸材です。



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