【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆目を引くのは母に因縁持つ2頭の物語

 連覇を狙うジェラルディーナはじめ、多くが京都は初めて。4年ぶりに通常通りの京都外回り2200米に戻ったエリザベス女王杯は、見所満載のメンバー構成となった。この10年のうち京都で行なわれた2019年以前の7年を見ると、千米通過が60秒台から62秒台でほとんどがスローペースで、この流れに適応できるかどうかがポイントになりそうだ。

 ある程度の位置から末脚を伸ばせるものということになるが、波乱を生むのは、前々につける先行タイプが目につく。典型的なのが17年から3年にわたり2着に粘ったクロコスミアだ。4歳で最初に出たときは千米62秒0のペースの2番手で、オークス2着、秋華賞3着から挑戦してきた3歳馬モズカッチャンと上がり3F34秒台で競り合ってクビ差の2着、このときは9番人気。

 翌18年は逃げてつくったペースが千米61秒4、それで上がり34秒7をマークし2着、このときも9番人気。そして3年目の19年も逃げて、千米が62秒8のスロー、上がり3F34秒8でまとめ2着、この時が7番人気と、いずれも伏兵的存在だった。

 クロコスミアが3年も続けて2着に来ていたのに、そのどれもが人気薄だったのは驚きだが、その前走はいずれも府中牝馬Sでその成績は、1着、5着、5着だった。この例のみならず、エリザベス女王杯にはリピーターが多いのだが、それだけ、コースに特徴があるということだろう。

 ついでにこの10年の伏兵で上位に入ったものを辿ってみると、15年に6番人気で勝った4歳馬マリアライトは、前走がオールカマー5着。千米60秒7の緩いペースの中団から早目にポジションを上げ、4角では6番手から34秒7の末脚でヌーヴォレコルトなどの実績馬たちとの競り合いをクビ差制していた。当時は素質が開花したと称えられていた。

 そしてその翌年の16年の2着馬シングウィズジョイは、前走の府中牝馬Sが7着で当日は12番人気と評価が低かったが、千米61秒8のスローペースの3・4番手につけて、最内を突き、上がり3F33秒7で、府中牝馬Sを勝って上位人気だったクイーンズリングとクビ差の勝負を演じていた。

 もっともシングウィズジョイは、3歳時にフローラS、ターコイズSと重賞は2勝していたものの、オークスなどここぞという舞台で目立つ存在ではなかったので、4歳秋に大きく成長できた馬と見ていいのではないかと思っている。

 今年の顔ぶれを見ると、連覇を目指すジェラルディーナの母が牝馬三冠のジェンティルドンナで、これと現役時代に好勝負し3冠3戦とも2着だったヴィルシーナの仔ディヴィーナがこれと初めてGIの舞台で対戦するという物語が目を引く。どちらも同じモーリスが父というのも面白い。これらに、今年の牝馬三冠全てで好走したハーパー、キャリア4戦ながら秘めた力がありそうなブレイディヴェーグ、昨年2着のライラックを少し。

「この快挙 進化発揮で その先へ」



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