【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆今まで以上に混沌とする戦い

 今から4年前、サウジアラビアに世界最高額賞金のサウジCが創設されてから、国内のダート戦線に明らかな変化が見られるようになった。以前からあったドバイワールドCが3月下旬にあり、この2月、3月は中東に世界のダート馬の目が集まるようになっている。当然、国内で最優秀ダート馬に選ばれた後は、この世界のタイトルをめざすものが多くなり、国内で行なわれているフェブラリーS、チャンピオンズCの2つのGI戦の立ち位置に変化が生じてきた。ダートの本場アメリカでも、中東にそそぐ熱い視線が目立つようになっていると言うから、この勢いは当分続きそうだ。

 今年のフェブラリーSの顔ぶれをみると、これまで以上に混とんとしている。国内チャンピオンになった馬が、次なる目標を世界に向けるのだから、そこに行くワンステップとして、国内のGI戦は存在していると言っていいだろう。そうした流れの中、出走馬を見ると今年は、地方からの参戦にちょっと気持ちが動く。JBCスプリントで中央馬を破り、2年連続でNAR年度代表馬に選ばれた兵庫のイグナイター。昨年のフェブラリーS6着馬、浦和のスピーディキック。直線で何度もきゅう屈になりながらレモンポップから1秒差と走っていたので、東京シンデレラマイル連覇で復調したとなれば、この女傑も無視できない。

 そして何と言っても大井の若大将ミックファイアが、中央に挑戦するのも興味をかき立ててくれている。南関東の無敗の三冠馬で、盛岡のダービーグランプリも勝って無敵ぶりを発揮していた。前走の東京大賞典は初めての古馬相手で、ゲートがよくなく集中力を欠いてしまったが、フェブラリーSはスタートしてしばらくが芝なので、軽いトビのこの馬には合っていると考えていいだろう。異色のこの3頭の地方馬がどんな戦いをするかで、今後のフェブラリーSの傾向も変わる可能性もあると言えるだろう。

 受けて立つ中央勢の中では、チャンピオンズC、東京大賞典といずれも2着だったウィルソンテソーロが中心になる。中京ではスタートが悪く後方に構えて追い込んでレモンポップに0.2秒差、大井では一変して逃げまくりウシュバテソーロに0.1秒差と粘り、幅広い脚質は魅力がいっぱいだ。これを追うのがドゥラエレーデ、キングズソードの2頭だ。近2走がよく、芝のホープフルSの覇者ドゥラエレーデは、前々で頑張れる馬で、展開に恵まれそうだし、一方のキングズソードは、2走前のJBCクラシックを4馬身差の爆発力で勝ったシーンが、忘れられない。押さえに、4歳馬で伸びシロ十分のオメガギネスを。ギリギリ出走枠に入れた幸運が、レースにいい影響をと考えたい。地方勢3頭の中からは、大井のミックファイアに可能性があるとみた。

「これならば 世界に出ても 楽しめる」



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