【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】

◆5月の三冠に向けて前哨戦が開催

 英国3歳三冠初戦のG1・2000ギニー(芝8F)、G1・1000ギニー(芝8F)の開催が5月4日と5日に迫っている中、先週はニューマーケット競馬場とニューバリー競馬場で、プレップレースが行われた。

 17日にニューマーケット競馬場で行われたG3ネルグウィンS(芝7F)は、圧倒的1番人気(1.91倍)に推されていたダンスシーケンス(牝3、父ドバウィ)を2着に退けて、4番人気(19倍)プリティクリスタル(牝3、父ドバウィ)が優勝を飾った。2歳時は5戦して1勝、アスコット競馬場のG3プリンセスマーガレットS(芝6F)2着、グッドウッド競馬場のG3プレステージフィリーズS(芝7F)4着、エア競馬場のG3ファースオブクライドS(芝6F)4着と、3重賞で入着していたのがプリティクリスタルだ。今季初戦のここで重賞初制覇を果した同馬は、G11000ギニーは未登録で、追加登録するかどうかを今後陣営が協議することになる。

 2歳時、G3オーソーシャープS(芝7F)を含む2戦2勝だったダンスシーケンスは、ここで初めての敗戦を経験したが、次走は予定通り、G11000ギニーになる模様だ。

 続いて20日にニューバリー競馬場で行われたG3フレッドダーリンS(芝7F)。勝ったのは3番人気(6倍)だったフォルガリア(牝3、父デューディリジェンス)だった。2歳時はイタリアに在籍し、5戦してG2ドルメロ賞(芝1600m)など2重賞を含む無敗の5連勝をマーク。イギリスに移籍して迎えた今季初戦のG3フレッドダーリンSを勝って、デビューからの連勝を6に伸ばした。陣営はレース後、同馬の次走がイギリスの1000ギニーではなく、5月12日にロンシャン競馬場で行われるG1仏1000ギニー(芝1600m)になることを明らかにしている。

 4月22日の段階で、ブックメーカー各社がG11000ギニーへ向けた前売りで1番人気(3.75〜4.5倍)に推しているのは、前哨戦を使わずに本番に直行する、カール・バーク厩舎のフォールンエンジェル(牝3、父トゥーダーンホット)だ。2歳時は4戦し、G1モイグレアスタッドS(芝7F)、G3スイートソレラS(芝7F)という2重賞を含む3勝をあげた同馬。21日にニューマーケット競馬場でダニー・タドホープ騎手を背にレースコース・ギャロップを行ない、出走態勢を整えている。

 続いて牡馬戦線。

 18日にニューマーケット競馬場で行われたG3クレイヴンS(芝8F)を制したのは、5番人気(9.5倍)のハーテム(牡3、父フェニックスオブスペイン)だった。

 2歳時は9戦し、G2ヴィンテージS(芝7F)を含む2勝。2歳最終戦となったG1デューハーストSは、勝ったシティーオブトロイから8.1/2馬身差の5着だった。今季初戦のここで2度目の重賞制覇を果した同馬は、G1英2000ギニーの登録があるが、5月20日にケルン競馬場で行われるG2独2000ギニー(芝1600m)にも登録されており、どちらに向かうかを今後陣営が協議することになる。

 ハーテムは、昨年10月のG1ジャンリュックラガルデール賞(芝1400m)の勝ち馬で、二千ギニ-の前売り2番人気に推されているロサリオン(牡3、父ブルーポイント)と同じ、リチャード・ハノンの管理馬だ。併せ馬をすることもある2頭について、ハノン師は「動きはロサリオンの方が良い」と明言。ハーテムがG3クレイヴンSを制したことで、2000ギニーの前売りにおけるロサリオンのオッズが下がることになった。

 続いて20日にニューバリー競馬場で行われたG3グリーナムS(芝7F)。勝ったのはオッズ17倍で10番人気だったエスクァイア(セン3、父ハリーエンジェル)だった。

 2歳9月にデビューし、ハミルトンパーク競馬場のメイドン(芝6F6y)を制して緒戦勝ちを飾ったものの、続くヨーク競馬場のLRロッキンガムS(芝6F)が2着。さらに、ドンカスター競馬場のLRドンカスターS(芝6F2y)では6着に敗れて2歳シーズンを終えていた。今季初戦のここで重賞初制覇を果した同馬は、2歳3月の段階で去勢されているためにクラシック出走権はなく、今後はロイヤルアスコット最終日(6月22日)のG3ジャージーS(芝7F)が目標になる。

 現時点で、2000ギニーへ向けた前売りでブックメーカー各社がいずれも2倍を切るオッズを提示し、圧倒的1番人気に推しているのが、A.オブライエン厩舎のシティーオブトロイ(牡3、父ジャスティファイ)だ。

 2歳時は3戦し、G1デューハーストSを含めて無敗の3連勝をマークした同馬。前哨戦を使わず、G1・2000ギニーが今季初戦となる。

 5月最初の週末、日本の競馬ファンの目はケンタッキーダービーに向きがちだと思うが、ニューマーケットを舞台とした3歳クラシックにも、ぜひご注目いただきたい。

(文=合田直弘)

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