卒塔婆や墓標の製造・販売を手掛ける谷治新太郎商店は2013年から、自社ECサイト「卒塔婆屋さん」を運営している。卒塔婆業界であまり行われていなかった「バラ売り注文」や「決済方法の拡大」に対応。リピーター継続と認知度向上につながり、2021年1月~4月の平均月商は600万円を超えた。ECサイトにおける売上高は、年商1億円を目指している。

卒塔婆とは別名塔婆とも言い、墓の近くに立てられている細長い板のこと。毎年行われる寺での法要や、先祖の年忌法要の際に使用する。主に亡くなった人の供養をするためのものだ。

自社ECサイトを立ち上げた経緯について、「檀家離れやお墓参りをしない家庭が増えてきたことが大きい。私たちの顧客はお寺。もっと多くのお寺に私たちの存在を知ってもらう必要があった」(谷治大典社長)と振り返る。

同社では他社と差別化を図るため、卒塔婆業界であまり行われていなかった二つの施策を実施した。

まず2017年4月、卒塔婆を1本から購入することができる「バラ売り注文」を開始した。これは同社が製造業でもあったため、可能になった販売手法だ。

卒塔婆業界では、1年分の卒塔婆を年に2回、合計2000本を取引先に納めることが一般的だった。取扱数が数千本となるため、「納期に時間がかかる」「寺での保管場所に困る」などの声が寄せられていた。

しかし、「バラ売り注文」を開始したことにより、こうした問題は解消。少量で、最短翌日に届けることを可能にした。

週末に法事がある場合、その週の初めに必要な本数を頼めばいいので、ロスが出ず、卒塔婆を保管するスペースも小さくて済む。長時間保存による卒塔婆の劣化や日焼けもなくなり、新鮮な状態で使用できることもリピーターの継続につながっている。

さらに同社では「決済方法の拡充」にも注力している。決済方法が銀行振り込みのみという企業が多い中、同社では八つの決済方法を用意している。

「銀行振り込みの場合、注文書を送付して、振り込みを確認してからでないと、出荷することができない。どうしても発送までに時間がかかってしまう。もっとたくさんの人に最適な選択肢を提供したかった」(同)と語る。

特に2017年に導入したアマゾンペイの反応が良く、導入前月の2017年4月と導入後の5月を比較すると、売り上げは3割ほど伸びたという。

今後は若い世代に卒塔婆を知ってもらい、業界全体を盛り上げていく必要があると考えている。そのために自社ECサイトで、若い世代が見るであろう就活と仏教を絡めた記事を掲載し、若い世代の意識変革につなげていきたい考えだ。


「卒塔婆屋さん」
https://sotouba.net/