インサート成形クリームジャー容器の大ヒット商品「MISTY(ミスティ)」のメーカーとしても知られ、クリームジャー容器全般に強い化粧品容器メーカーの三洋化学工業はこのほど、新たに金型を開発することなく多様なデザインを実現できる容器「百景」シリーズの本格訴求を開始する。高付加価値なデザイン性と、SDGs・エコへの貢献を兼ね備えた容器の供給も可能だという。同社の山田正博営業統括部次長兼広報室室長に話を聞いた。
ーー化粧品容器の最新のトレンドについて教えてください。

化粧品容器にも、SDGsへの対応が、強く求められるようになっています。そうした文脈から、樹脂量が少ない容器、リフィル(詰め替え)タイプの容器、バイオマスやグリーンナノなど特殊な樹脂を使った容器などの人気が高まっています。

バイオマス樹脂には、原料に、植物などを使用しています。植物は生育時に大気中のCO2を吸収します。燃やしても、全体としてCO2が増加しないという「カーボン・ニュートラル」の考えに基づいています。

一方、グリーンナノは、さまざまな樹脂に混ぜ込むことで、燃焼時のCO2排出量を減らすことができます。多様な樹脂に対応でき、汎用性が高いのが特徴です。

当社では、こうした、SDGs・エコの要望に、一通り応えらえる体制を整えています。例えば、トウモロコシ由来のバイオマス成分を配合したPP製のクリーム容器も提供できます。バイオマス樹脂には、PETやポリエチレンが多く、PPのバイオマスは珍しいと思います。

従来比でプラスチックの使用量を50%以上抑えたクリーム容器「POLLEN(ポルン)」の提案も、このほど開始しました。30グラムのクリーム容器で、日本郵政のメール便にも対応できます。

当社が開発したエコ容器「T―eco(テコ)」も、引き続き好評をいただいています=写真下。高級感のある容器ながら、詰め替え用のリフィル容器を簡単に着脱できるのが特徴です。


エコ容器「T―eco(テコ)」

ーー高付加価値な化粧品容器の開発方法について教えてください。

大前提として、世の中の容器・包材・入れ物の中で、化粧品容器ほど、付加価値が表現できるものは、他にないと思っています。容器・包材に求められるものは通常、機能性が主だからです。これに対して、化粧品容器には、付加価値の高いデザイン性が求められることが多いです。

化粧品の開発メーカーさまの想いや、消費者さまのトキメキを、容器でしっかりと視覚的に表現することが、当社の役割だと考えています。

当社では、高付加価値な化粧品容器の低コスト開発につながる取り組みの一つとしてこのほど、「百景」シリーズの提案を本格化します。

ーー「百景」シリーズというのは、どんなものですか。

当社では以前から、インジェクション成形容器について、金型を新たに作ることなく、さまざまな「形」を実現できる特殊技術を持っていました。インジェクション容器の金型を新たに作るとなると、通常はコストがかなり掛かります。新成形技術を使うと、低コスト・小ロットのオリジナル容器開発が可能になります。例えば、クリスタルカット、ウェーブ形状、葉っぱをあしらった柄など、多様なデザインの表現が可能です。当社のクリーム容器「ヴァンシステム」や「エルシステム」には、この技術を採用しています。


クリーム容器「ヴァンシステム」

画期的な独自技術なのですが、これまで利用が進んでこなかった部分がありました。従来は、お客さま自身に、立体のデザインを行っていただく必要があり、その点がネックになっていました。そこで開発を始めたのが、「百景」シリーズなのです。

「百景」シリーズはいわば、新成形技術の立体カタログです。新技術で再現できる形状を、100種類の立体デザインに落とし込み、サンプルを作りたいと思っています。すでに「女媧の五色石(じょかのごしきせき)」、「マルチバース」など8種類のデザインを考案済みです。現在、立体化が実現可能か、検証と設計を進めているところです。


「女媧の五色石(じょかのごしきせき)」


「マルチバース」

「百景」シリーズを見ていただければ、当社の技術の〝すごさ〟を一目で分かっていただけるだけでなく、当社独自の企画力も感じていただけると思います。順次ラインアップを拡充させていきたいと考えています。

高付加価値容器が求められる一方で、先ほど申し上げたように、SDGs・エコを求める声は日増しに高まっています。付加価値の高いデザイン性と、SDGs・エコを両立できる容器が求められているように思います。「百景」シリーズに用いられている新成形技術は、リフィルタイプ仕様も開発中です。小ロット対応でありながら、高付加価値・SDGsを兼ね備えた容器のご提案が可能になると考えています。

ーー御社の最近の取り組みについて教えてください。

和歌山に設置している自社工場「ナインタイムズ」では、化粧品OEM会社のシーエスラボとコラボした取り組みを開始しています。工場内に、シーエスラボの化粧品の生産設備を設置。容器の製造から化粧品の最終製品化までを、工場内で一貫して行える体制を整えました。さらに、クリーム容器のリフィルに、ふたとしてトップシールを貼る機械も、今年中に導入し、稼働に向けた検証をスタートする予定です。この設備が導入されれば、ネックであったトップシールを小ロット・汎用化することができます。それだけでなく、容器の生産と、中身の製造を個別に進められるという点から、新発想の製造プロセスを創造したりして、超短期で商品供給を行うことも可能となります。先ほどの新成形技術と組み合わせれば、多様な容器デザイン、多様な中身の化粧品を小ロットずつ製造するといったことも可能になるでしょう。

当社では今後も、容器のみならず、商品開発における「ナビゲーター」として、全てのお客さまに寄り添った「新しい価値」を提供し続けていきたいと考えています。


三洋化学工業
http://www.sc-sanyo.co.jp/