ヤフーは6月13日、ECモール「ヤフーショッピング」「PayPayモール」の検索結果画面において、「優良配送」対応商品の優先表示を8月下旬から実施すると発表した。現在は検索結果画面の上位においても、通常商品と「優良配送」対応商品が混在しているが、優先表示開始後は検索上位を「優良配送」対応商品が占めることになる。ヤフーはユーザーに「優良配送」の利用を促すことで、サービスの満足度を向上したい考えだ。

「優良配送」は「注文日+2日以内」に配達できることや店舗全体の出荷遅延率の低さなどの基準を満たした商品に付与されるもの。対応商品には、検索結果や商品ページで「優良配送」アイコンが表示され、ユーザーに選ばれやすくなる。ヤフーはヤマト運輸と提供するフルフィルメントサービスを活用することで「優良配送」に対応できる環境を整えたり、店舗に配送サービスの強化を促し、「優良配送」対応商品の拡大を図っていた。


一部カテゴリーは対象外に
今回、検索結果画面における「優良配送」商品の優先表示を開始することで、より「優良配送」商品が売れやすい状況になる。検索結果画面には「優良配送を優先表示しています」と伝える文言が表示され、ユーザーは「解除する」をクリックすることで、通常検索に戻すこともできる。ただ、デフォルトで「優良配送」が優先表示されるため、多くのユーザーがわざわざ通常検索に戻す可能性は低いだろう。

検索結果画面だけではなく、「ヤフーショッピング」のレコメンド枠や、ヤフーグループのサービス内で「ヤフーショッピング」の商品を掲載している一部のレコメンド枠においても「優良配送」対応商品が優先的に表示されるという。

「注文日+2日以内」の配達が難しい「ふるさと納税」「自動車」などのカテゴリーは、「特別表示カテゴリー」として、優先表示の影響を受けにくくする措置を講じるという。「特別表示カテゴリー」の対象カテゴリーは6月27日までに案内する予定だ。

「Amazon」がAmazonプライム配送特典を利用できる商品に「prime」のアイコンを表示したり、「楽天市場」が「あす楽」対応商品に「翌日配達」のアイコンが表示されたりする取り組みを行っているが、検索結果の上位に「prime」「あす楽」の商品のみを表示するといった施策までは実施していない。ヤフーはAmazonや楽天よりも強力に配送品質の高い商品を優遇し、モール全体の配送品質の向上をさらに加速させたい考えのようだ。


店舗やコンサルが漏らす懸念点
ある店舗は、「『優良配送』に対応したことで売上が150%伸びた店舗があるという。優先表示の開始により、『優良配送』へ対応するメリットはもっと増すだろう。一方で自社の物流や仕入れ環境などにより、『優良配送』に対応できない店舗や商品はヤフーのECモールで売り上げを作りにくくなる。店舗は今よりも戦略的にどのモールでどの商品を売るか、どのモールに注力すべきかを考えていく必要がありそうだ」と語る。

あるコンサルタントは、「旅行の安・近・短みたいに安い、早い、誰でも買えるモノばかりが売れてもつまらない。モールの多様性を損ないかねない施策にも思える」と指摘する。

ある店舗は、「一部の店舗が『優良配送』に対応するために不正を働いているという話を聞いたことがある。『優良配送』の基準をクリアするように設定しておき、即日配送の送料を法外な値段に設定することで購入者が選択しないようにしていたりするケースもあるようだ。ヤフーには『優良配送』の強化を進めると同時に、不正防止の取り組みも強化してほしい」と話す。

ヤフーは8月下旬の優先表示の本格開始前に、一部ユーザーに向けて優先表示のテストを行うという。さらに、店舗が「特別表示カテゴリー」の希望を投稿できる「ご意見・ご要望フォーム」を用意し、意見を吸い上げる取り組みも行う。

今回の施策がヤフーのECモールのさらなる成長を呼び込むのか、店舗の”ヤフー離れ”を呼び込むのか、施策の行方を注視していきたいと思う。