近未来のラストワンマイルを担うのは、ドローンやUGV(無人走行車)になるかもしれない。多くの人が本格的な実用化はだいぶ先の話だと思っているのではないか。実際は実用化に向けた規制緩和や制度設計が急速に進んでいる。多くの企業が実証実験を行い、新たな業界団体が立ち上がるなど、実現性が高まっている。数年以内にドローンやUGVによる配送を実用化する環境は整いそうだ。

ドローンの社会実装に向けて、規制レベルが設けられている。目視内での操縦飛行「レベル1」、目視内での自動・自律飛行「レベル2」、無人地帯における目視外飛行「レベル3」、有人地帯における目視外飛行の「レベル4」の4段階だ。

本格的にドローン配送を実用化するためには、「レベル4」の解禁が必須だといえる。すでに「レベル1」「レベル2」とも無人・有人地帯で飛行可能となっている。

2021年6月の航空法改正により、「レベル4」解禁に向けて飛行の安全性を担保する仕組みが必要だとして、新たに「機体認証」と「操縦ライセンス」制度を創設することになった。機体認証制度は自動車の車検に相当するもので、量産機の場合は、機種ごとの「型式認証」と機体ごとの「機体認証」の二段構えになる。

国土交通省は2022年4月、「レベル4飛行」の実現に向けた「無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会」での議論の結果を公開した。

機体の安全基準については、「レベル4」でも都市部など人口密度が高いエリアと、それ以外のエリアを分けて考える方針が示された。人口密集エリアは有人機並みの厳しい審査を課し、それ以外のエリアには実証飛行試験により安全性を証明できる米国基準をベースに策定・適用する。

官民協議会がドローンの社会実装に向けた環境整備のために作成している「空の産業革命に向けたロードマップ」の最新版によると、「レベル4」解禁は2022年中となっている。

実際は解禁されてから実証実験などを経て実用化される運びになるだろう。

楽天グループ(楽天)などは海を越えた離島や山間部といった無人地域において、目視外飛行でのドローン輸送の実証実験を重ねている。「レベル4」が解禁となり、安全基準を満たした機体と、ライセンスを取得したドライバーの準備が整えば、有人地域での実証実験にも取り掛かるだろう。


▲楽天グループは海上を通り、高層マンションの屋上に荷物を届けるドローン配送のテストを実施した


<UGVは協会発足で実用化に前進>
UGVの実用化に向けて、今年2月に大きな動きがあった。楽天や日本郵便、本田技研工業、パナソニック、川崎重工業、ZMP、TIS、ティアフォーの8社が、自動配送ロボットを活用した配送サービス(ロボットデリバリーサービス)の普及を推進する一般社団法人ロボットデリバリー協会を発足した。

発足式には、経済産業省や国土交通省、警視庁といったUGV走行の規制や制度作りに関わる行政機関も参加した。今後、これらの行政機関と連携し、自動配送ロボットが公道を走行するため自主的な安全基準やガイドラインの制定、認証の仕組みづくりに取り組むという。


▲一般社団法人ロボットデリバリー協会が発足

同協会の発足は、事業者同士が情報や技術を共有するという価値に加えて、行政機関と連携した安全基準やガイドラインが制定される点に大きな価値がある。

今年3月には「自動配送ロボットの安全基準等の策定方針」を発表している。機体の安全基準や遠隔操作のガイドラインを盛り込んでいる。今年4月には道路交通法の改正案が国会で可決・成立し、自動走行ロボットの公道走行がしやすい環境が整ってきている。


▲楽天グループ、パナソニックホールディングス、西友がUGVの公道走行による配送サービスを実施

ドローンもUGVも制度面では数年以内に本格的に実用化できる環境が整備されそうだ。次の課題は事業として成立させるための事業設計やニーズの開拓だ。いくら実現できる環境が整っても、消費者に必要とされないサービスは普及しない。各事業者の事業化の取り組みを注視していきたい。