スクロールは今期から、3カ年の中期経営計画(中計)をスタートさせた。ソリューション事業やeコマース事業を強化して、現在の通販事業に次ぐ柱に育成するのが狙いだ。2022年3月期の連結業績は、収益認識基準の適用で売上高は前期比38億300万円減の813億9100万円、純利益は同4億100万円増の55億8500万円だった。鶴見知久代表取締役社長に、前期業績の評価や中計の狙いなどを聞いた。


<eコマース事業は収益の成長を期待>
――前期業績は収益認識基準の適用で前期比の数字が公表されていないが、どのように評価しているのか?

2020年度と比較すると連結売上高は落ちているが、最終利益は増益となっており、悲観的な見方はしていない。2020年度がコロナの初年度で、通販事業はかなりプラスの影響を受けた。その要因がいつまで続くのか懸念していた。経常利益こそ若干減益となったが、最終利益は増益だったのでトータルとしては悪くはなかった。

――スクロール単体は、生協市場が堅調だったことから業績も安定していると思うが、セグメント別で見るとソリューション事業とeコマース事業が若干苦戦した印象だ。

確かに、ソリューション事業とeコマース事業は減収だった。ただ、ソリューション事業における業績は、2020年度においてコロナの影響でクライアントが自粛したし、われわれも対面の営業ができなかったために、新規クライアント開拓にかかる活動が止まってしまった。物流の移転となると経営判断になるので、相手の倉庫だとか、現在稼働している倉庫を見ないで営業案件を進めることは難しい。コロナの影響が1年続いてしまい、新しいクライアントが積み上がってこなかった。

既存のクライアントにおいても、業績の悪化や通販事業からの撤退もあり、新規の積み上げができなかった影響で苦戦した。幸い、商談はストップしていたわけではないので、移転に関わるまでの意思決定が進みづらかったが、それが昨年あたりから、せきを切ったように寄せられている。今期は第1四半期の業績で発表した通り、成長路線を取り戻しつつある。ただ、先行投資をしている分、利益率はやや悪化している。


<HBT事業ではM&A含め再建>
――今期からスタートしている3カ年の中計では、ソリューション事業とeコマース事業を成長戦略として掲げている。理由は?

ソリューション事業はスクロールグループの第2の柱として位置付けている。その中でもウエートが大きいのは物流代行になる。後払い決済のキャッチボールや、アフィリエイトを含めたマーケティングサービスを強化する、もしもにおいては、成長が見込める。ソリューション事業においてはワンストップサービスとして、それぞれ意味のある固まりとなっている。eコマース事業においては現在、業績で苦戦している。AXESは輸入商材を扱っているので、円安状態の中で国内での価格設定は為替の影響を受けている。スクロールR&Dは、家具・雑貨やヘルス&美容雑貨の器具系を取り扱っているが、コロナの初年度が巣ごもりで伸びただけに、その反動減の影響が出ている。ただ、将来的な成長に期待しており、中計でも収益面での成長を期待している。

――今期からスタートした中計策定の狙いは?

前代表の堀田が築き上げてきた路線を私が引き継ぎつつ、そしてその先の将来に向けた布石を作っていくという前提の思想を含めたものが今回の中計だ。現在、通販事業がグループの中心として支えているが、永遠に続けられる保証はない。そのために第2の柱としてソリューション事業を位置付け、その育成に努めていく。さらにガバナンス面では、4月からプライム市場の一員として、新たに上場の位置付けとなっているので、そのマーケットで求められるESG(環境・社会・ガバナンス)といったところを、しっかりと目標を持って取り組んでいく。

――一方、グループ会社で手掛けている健康食品通販や化粧品通販事業はかなり厳しい状況が続いている。今後、どのように取り組んでいく予定なのか?

HBT事業においては昨年、事業再編を行ったし、手放したものもあるので、いったん再構築をしていく計画だ。ただ、その領域から撤退するということではなくて、てこ入れを行っていく。ECを中心に顧客基盤の構築を図っていく他、新たなM&Aを含めて再建していく計画だ。ただ、こうしたリピート系の通販において、継続的にコストをかけながら回収する事業というのは、現在のわれわれにとっては難易度が高いと感じている。いったん再編をした上で、ビジネス的にも損益構造に生かせるようにしていきたい。

――中計の行方も含めて、今後の抱負をうかがいたい。

今期は非常にコスト関係を含めて厳しい状況の中でも、予定通りの利益を計上することに主眼を置いて取り組んでいる。あとは中計で掲げている、ソリューション事業を第2の柱に育成するための基礎固めの時期と位置付けており、現場力のある経営者に託している。もう一つは、スクロールグループが標榜している、DMC(ダイレクトマーケティングコングロマリット)複合通販の戦略上として、少しでもグループに変化や刺激を与えるM&Aを実行しながら、グループの成長戦略へ影響を与えていきたい。