【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

いわての幕の内 やまびこ

いまから40年前、東北新幹線の看板列車として、盛岡行の在来線特急から昇格して、登場した「やまびこ」号。最高時速320kmの「はやぶさ」が登場したいまでは、はやぶさが停まらない各駅への速達列車として、大事な役割を果たしています。そんな「やまびこ」の名を冠した東北新幹線40周年記念駅弁が、岩手・一ノ関駅の駅弁屋さんから登場しています。

E5系新幹線電車「はやぶさ」、東北新幹線・一ノ関〜水沢江刺間

東北新幹線40年&山形新幹線30年! 記念駅弁の旅(第2回/全4回)

昭和57(1982)年6月23日に開業してから40年を迎えた東北新幹線(大宮〜盛岡間)。この開業で日本一長い鉄道の橋が、東海道新幹線の富士川橋梁(1373m)から、東北新幹線の第1北上川橋梁(3868m)に変わりました。一ノ関駅を出ると、程なく差し掛かる橋梁を、最高時速320kmの「はやぶさ」号が一気に駆け抜けていきます。東京を出てから約2時間。終着・新函館北斗まで約2時間で、時間的には中間地点といったところです。

E5系+E6系新幹線電車「はやぶさ」、東北新幹線・一ノ関〜水沢江刺間

一ノ関で新函館北斗行の「はやぶさ」を先に通した、仙台以北各駅停車の「はやぶさ」が、ゆっくりと追いかけていきます。見た目には高架橋を走っているように見える17両編成の「はやぶさ」号ですが、じつはこの高架橋も「第1北上川橋梁」。下に広がる水田も、北上川の遊水地の一部という扱いになっています。ちなみに、東京〜盛岡間を17両で走る「はやぶさ(・こまち)」は、日本の旅客列車では、最も速く、最も長い編成となります。

200系新幹線電車「やまびこ」、東北新幹線・東京駅(2003年撮影)

現在の「はやぶさ」、以前の「はやて」より前、JR発足直後から東北新幹線の看板列車だったのが、とくに停車駅の少ない「やまびこ」、いわゆる“スーパーやまびこ”でした。この列車には、国鉄末期に登場した100系新幹線と同じ顔の先頭車両と、2階建て車両が連結された16両編成が活躍していた時期もありました。2000年から数年間、2階建て車両の1階で、首・肩中心のクイックマッサージが受けられたのも懐かしい思い出です。

いわての幕の内 やまびこ

そんな「やまびこ」の思い出に浸っていただきたい、東北新幹線開業40周年記念駅弁が、一ノ関駅弁・斎藤松月堂が製造する「いわての幕の内 やまびこ」(1100円)です。新幹線開業当時、販売していた「やまびこ弁当」を、現代風にアレンジ、復刻させたと言います。復刻は30周年以来、10年ぶりですが、前回は掛け紙のある横長容器だったのに対し、今回はレトロな雰囲気は残しながら、いまどきのボックス型容器となっています。

いわての幕の内 やまびこ

【おしながき】
・ごはん(岩手県産ひとめぼれ) あおさ ゆり根花びら
・岩手県産鶏肉の照り焼き
・盛岡じゃじゃ麺風うどん(自家製肉味噌使用)
・一関名物あんころ餅
・かじきの漬け焼き
・エビフライ
・玉子焼き
・煮物(がんもどき、玉こんにゃく、人参、椎茸、きぬさや)
・れんこんきんぴら
・ガリ生姜

10年前(2012年)の「復刻版やまびこ弁当」

ちなみに10年前の復刻版がコチラ。ご飯大盛り、ハンバーグや唐揚げ、ウインナーなど、1980年代の子どもが喜びそうなおかずの構成で、空気感までタイムスリップしたかのよう。当時の私は、“食べているそばから、大瀧詠一さんの歌声が流れてきそうなくらい、80年代の憧れが詰まっている”と、メモを取っていたほどです。なお、この10年の間に一ノ関のお隣・水沢江刺駅の発車メロディが、大瀧詠一さんの「君は天然色」に変更されています。

いわての幕の内 やまびこ

その意味では、今回の「いわての幕の内 やまびこ」は、かなりバージョンアップしています。エビフライを目立たせて懐かしさを出す一方、岩手県産の鶏肉の照り焼きや、盛岡名物・じゃじゃ麺をイメージしたうどんが入って、デザートには、待望の一関名物・あんころ餅! 懐かしさとご当地性を上手に両立させていて、ひとめぼれの白いご飯がどんどん進みます。ぜひ、このまま一ノ関の幕の内として、レギュラーに昇格してくれたら嬉しいかも!?

E5系新幹線電車「やまびこ」、東北新幹線・一ノ関〜くりこま高原間

現在の東北新幹線「やまびこ」は、宇都宮・郡山・福島の各駅と仙台〜盛岡間各駅への連絡が主な役割です。特に一ノ関、さらに世界文化遺産・平泉へのアクセスには無くてはならない存在となっています。はやぶさ・こまち・つばさには無い自由席も連結されており、短い区間でも、気軽に乗車できるのが特徴。これからも、東北新幹線の要として活躍してくれそうな「やまびこ」号です。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/