【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

シェ・トヤの「ソムリエおすすめ、ワインコース」

近年、全国の鉄道で人気を集める「レストラン列車」。その先駆け的な存在となったのが、平成28(2016)年から、えちごトキめき鉄道の上越妙高〜糸魚川間で運行されている、「えちごトキめきリゾート 雪月花」です。運行開始から約6年半、この10月の列車から、食事などが大幅にリニューアルされることになりました。今回はリニューアルに先駆けて、主に報道関係者向けに行われた試乗会に参加。ひと足早く、気になる料理をいただきました。

ET122形気動車「えちごトキめきリゾート 雪月花」、えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン・妙高高原〜関山間

北陸新幹線金沢開業に伴って、新潟県内の旧・信越本線・妙高高原〜直江津間、旧・北陸本線・市振〜直江津間を受け継いで誕生した第3セクターの鉄道「えちごトキめき鉄道」。真っ赤な車体が強い印象を与える看板列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」が、実りの秋を迎えた妙高山麓を駆け抜けます。高い人気を誇り、リピーターも多い列車が、運行開始から6年あまりを迎え、10月から料理を中心に大きくリニューアルされます。

ウェルカムドリンクとして提供された「フェルミエ(新潟市西蒲区)のスパークリングワイン」

従来の「雪月花」は、上越妙高発の午前便がフレンチ、糸魚川発の午後便が和食でした。10月からは午前便が「ソムリエおすすめ、ワインコース」(上越市春日山のシェ・トヤ、フレンチ)と、「新潟盛りだくさん、宝石箱コース」(上越市高田のデュオ・セレッソ、和洋中)の2種類に。午後便が「百年料亭、熱々釜めしコース」(上越市高田の宇喜世、和食)と、「漁港直送、漁師の豪快コース」(糸魚川市能生の割烹汐路)の2種類となります。

シェ・トヤの「ソムリエおすすめ、ワインコース」

今回は、午前便で提供される上越市内のフレンチのお店、シェ・トヤの「ソムリエおすすめ、ワインコース」をいただきました。雪月花の午前便は、北陸新幹線との接続駅・上越妙高を発車すると、一旦、南下して妙高高原で折り返し、直江津まで北上。その後は日本海沿いを糸魚川へ向かいます。途中、スイッチバックのある駅・二本木で長めに停車して、駅舎ツアーなどが行われている間に配膳が行われます。

シェ・トヤの「ソムリエおすすめ、ワインコース」

【おしながき】
(一の重・左)
・越の鶏レバームースと妙高産柿ジャムのグジュール
・妙高産コシヒカリのブランマンジェ 塩糀風味
・桜のチップでスモークしたサーモンと安塚産そば粉のガレットのミルクレープ
・能生産 紅ズワイガニのアランチーニ

(二の重・右)
・越の鶏と黒舞茸のガランティーヌ
・くびき牛サーロインステーキ
山古志神楽なんばん柚子胡椒の赤ワインソース
・上越産焼き茄子と豚ひき肉の生春巻き かんずり風味
・海老真丈の八色椎茸 ペルシャ―ド風

(三の重・真ん中)
・日本海の幸 南蛮海老とバイ貝のパエリア
・妻有ポークと岩の原赤ワインのドライカレー

(スープ)
・帛乙女(きぬおとめ)のポタージュ

シェ・トヤの「ソムリエおすすめ、ワインコース」

今回、シェ・トヤの「ソムリエおすすめ、ワインコース」は、ワインに合う食事をコンセプトに開発されたこともあって、列車にソムリエの方が乗りこんで運行される日もあると言います。赤と白のワインを1種類ずついただくことができて、ノンアルコールにも対応しています。特に新潟を代表するワインの1つ、胎内ワインをいただくことができるのは嬉しいもの。下越地方にある胎内市の職員さんが、自らの手でワイン造りに携わっているのだそうです。

シェ・トヤのソムリエ・望月さん

(赤)胎内ワイン メルロー2016
胎内ワイン ツヴァイゲルト2018
(白)甲州ドライ 2020

(ノンアルコール)
カツヌマグレープ ブラン
カツヌマグレープ ルージュ

なお、10月からは、白ワインもソムリエおすすめの新潟県産ワイン、ソフトドリンクは新潟県産のジュースを使用したノンアルカクテルをはじめとした新潟県産の飲み物に変更するとのこと。これは期待が高まります!

雪月花の車窓から望む、妙高の山並み

「雪月花」午前便の食事は、妙高はねうまラインの妙高高原〜直江津間でいただきます。とくに妙高高原〜二本木間は、車窓からの妙高山が絶景! 国内最大級の窓から、稲穂が垂れる田んぼと山並みを眺めてワイングラスを傾ければ、最高の旅の思い出です。料理のプロデューサーを務める、雑誌「自遊人」編集長の岩佐十良さんによると、今回の料理は華やかさがウリとのこと。この美しい景色に負けない料理が重箱に詰まっています。

直江津駅での歓迎

「えちごトキめきリゾート 雪月花」は、妙高はねうまラインから日本海ひすいラインに入る直江津駅で再び進行方向が変わるため13分の停車。駅にはえちごトキめき鉄道の本社があり、平日を中心に社員の皆さんも列車の到着に合わせて、熱烈に歓迎してくれます。

直江津駅弁・ホテルハイマートの下井さんによる立ち売りも健在!

そして、直江津駅弁・ホテルハイマート(山﨑屋)の立ち売り担当、下井道夫さんも登場。売り子さんから駅弁を買える希少な機会、お腹が一杯でも土産として買いたいものです。

デザート

・法王のティラミス「雪月花特別ver.」
(新潟県産食材使用、イタリアンレストラン オリベート)
・ドリンク

日本海ひすいラインからの日本海

「雪月花」のデザートは、全列車・全コース共通で、アドバイザーを務める萩原勇作氏がCEOを務めるイタリアンレストラン オリベートの「法王のティラミス(雪月花特別ver.)」が出されます。令和元(2019)年にローマ教皇が来日した際、提供されたメニューの1つで、新潟県産食材を使った「雪月花特別ver.」となっているのが特徴。午前便では直江津を発車した後に配膳され、有間川駅付近の日本海を眺めながらいただくことができます。

筒石駅に停車中の「えちごトキめきリゾート雪月花」

「雪月花」は、終着・糸魚川を前に筒石駅で小休止。筒石駅は、日本海ひすいラインの頸城トンネル内にある珍しい駅として知られていて、地上まで約280段〜290段の階段を登ります。国鉄時代、日本海縦貫線の安定輸送を目的に造られた長大トンネルですが、第3セクターの鉄道による維持・管理には、きっとご苦労も多いのだろうなぁと推察します。なお、「雪月花」は食事付の通常プランが2万4800円。また、帰った後、自宅に新潟・上越地域のお土産が届く「特別地域貢献プラン」が、2万9800円で新たに設定されました。「雪月花」の旅を楽しむこともまた、地域を、そして日本の物流を支える一助となるのかも知れません。

ET122形気動車「えちごトキめきリゾート雪月花」、えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン・関山〜妙高高原間

えちごトキめき鉄道によると、今回のリニューアルは、6年あまりが経過し、各地に同様のレストラン列車が誕生したことで、レベルアップを図ったと言います。また、アドバイザーの石井宏子さん(温泉ビューティ研究家)は、「女性が1人でも乗れる列車にしたい」という命題を受け、食事を中心に監修に当たったと言います。4つの味が楽しめるようになった「雪月花」は10月以降の予約も好調とのこと。気の合う仲間は勿論、おひとりさまでも、美しい山と海の景色を眺めて、新潟のいちばんいいところを味わってみてはいかがでしょうか。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/