数量政策学者の高橋洋一が7月27日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。日米による経済版「2プラス2」について解説した。

日米外相会談の冒頭、撮影に臨む米国のブリンケン国務長官(左)と林芳正外相=2022年5月23日午後、東京都港区の八芳園 写真提供:産経新聞社

日米経済版「2プラス2」 7月29日に初会合

日米両政府は経済分野の議論を行う外務、経済閣僚による新たな協議の枠組み、いわゆる経済版「2プラス2」の初会合を7月29日にワシントンで開くと発表した。日本からは林外務大臣と萩生田経済産業大臣が、アメリカからはブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席する予定。

—–

林外務大臣)日米両国の競争力・強靭性の強化や自由で開かれた経済秩序の維持・強化に向けて、萩生田経済産業大臣とともにブリンケン国務長官、レモンド商務長官と戦略的な観点から議論を行い、日米の外交・安全保障と経済にまたがる緊密な連携を確認する予定です。

—–

組み合わせが悪い日本の経産省と外務省

新行)会合では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や中国が覇権主義的な動きを強めていることを踏まえて、世界的に不足している半導体の供給網の強化や、先端技術の流出や悪用を防ぐための輸出管理の強化。さらに企業活動から強制労働など人権上の問題を排除するための枠組みづくりなどについて議論される見通しです。

高橋)経済版「2プラス2」というと、昔官僚だった私にとって、「ここまで来たのだな」と感慨深いところがあります。経済版ではない普通の「2プラス2」を外務大臣と防衛大臣がやるという事例は、以前からありました。

新行)通常の「2プラス2」は。

高橋)外務省と防衛省は比較的、意見が違うこともありますが、組み合わせとしてはそれほど悪くなかったのです。しかし、日本の場合、経産省と外務省は本当に組み合わせが悪いのです。

新行)経産省と外務省は。

高橋)お互いに主導権を握ろうとするので大変ですし、経産省が自分たちだけでやりたいからと言っても、外務省がいつも入ってくるわけです。経済分野だから外務省も意見を挟むのだけれど、基本的にはとにかく会議をしたがる人たちですから。経産省と外務省は主導権争いで大変だった分野なのです。それをようやくやるようになったのだなと。

かつては主導権争いをしていた経産省と外務省が一緒にやる時代に 〜なかで揉めないか心配

高橋)外務省はいつも会議の場に入ってきたがるのです。財務省の場合は国際的な慣例があって、財務省同士だと外務省は入れないのです。

新行)国際的な慣例で。

高橋)警察が近いかも知れません。警察の国際会合には外務省は入れない。入れないから年中「会議に入れてくれ」と言うのです。

新行)外務省が。

高橋)経済分野であれば、経産省が勝手にいろいろなことをやっていたのです。お互いにアメリカの商務省とやり合った方が簡単なので、外務省を入れずにやっていた。しかし今回、新しく外務省を入れるという形になったため、「2プラス2」の「2」なのだけれども、日本のなかで揉めはしないかなと逆に心配になります。外務省と経産省はもともと「俺が、俺が」と言っていたから。

新行)今回の会合が。

高橋)こんな解説をする人はいないと思いますけれども、官僚から見ると、外務省と経産省は犬猿の仲という感じなのです。外務省の経済局があるでしょう。経産省の方もまったく同じような組織になっていて、2つがいつもいがみ合っていたのです。

新行)外務省と経産省で。

高橋)外務省にやらせると、経済の話でも表面的な貿易の関税などの話ばかりなのです。経産省の方であれば、もっと実務の深い話になる。

新行)経産省であれば。

高橋)昔、日米半導体協定のような話で、外務省を抜きにしてやったこともありましたが、「いまや両方が協力しないとできなくなったのかな」という気がします。「2プラス2」でやることは、いいことかも知れませんけれども。

非民主主義国との取引をどうするのか

新行)今回、協議する内容も出てきていますが、注目しているところはどこでしょうか?

高橋)非民主主義国をどうするかという話です。非民主主義国の話になるときに、外務省も仲よくという話ですから、あまり分断の話は出にくいのです。

新行)分断の話は。

高橋)経産省も経産省で、どちらかというと経済が優先だから前のめりになってしまうのです。中国進出などでも前のめりでやってきてしまったでしょう。それが反省点になっているので、外務省も経産省もうまくできるのかなと心配です。総理などが主導していかないと「大変かな」という気がします。

新行)総理などが。

高橋)いままでは経済1点で「いけいけどんどん」だった話でしょう。そのときであれば比較的、外務省も経産省も同じような感じなのですけれどもね。

新行)いままでであれば。

高橋)今回はそういうものではなく、対共産圏については抑制的になるので、「2プラス2」でどこまでうまくできるのかなと。

新行)対共産圏について。

高橋)アメリカはそこを意識していて、非民主主義国の取引は徐々に制限してきています。具体的に言うと、中国の人権問題を理由に取引させないようにするのだけれども、果たして経産省がついていけるかどうか。日本の外務省もついていけるのかという気がします。