インドの安全保障に詳しい、ハドソン研究所研究員の長尾賢氏が3月20日(月)、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』に出演。岸田総理大臣のインド訪問について解説した。

インド・ニューデリーのパラム空軍基地に到着した岸田首相=2023年3月20日(共同)

岸田総理大臣は19日から22日の日程でインドを訪問。20日にはモディ首相との会談が行われる。5月に開催されるG7広島サミットを前に岸田総理がインドを訪問する狙いについて、長尾氏は、ロシアのウクライナ侵略や対中国戦略などを念頭に、「G7の議長国である日本としては西側諸国との協調路線にインドを巻き込みたいという狙いがある」と話した。

そのうえで、長尾氏は、「インドとの協調の鍵になるのはグローバス・サウスへの支援」と指摘。グローバル・サウスは、欧米や中露とも距離を置く新興国・途上国の総称で、インドはその代表格とされる。長尾氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵略によるエネルギーや食糧の価格高騰の打撃を最初に受けたのはグローバル・サウス。インドを含めたグローバル・サウスに対して、どのような解決策を提示できるかが、インドとの協調の鍵となってくる」と話した。

また、長尾氏は3月1日・2日にインドで開催されたG20外相会合を林芳正外相が欠席したことにも触れ、「日本はG7広島サミットのゲスト国としてインドを招待する方針を示しているが、インド側としては広島に行く意思はあっても、同じようにキャンセルしないと国民への面子が立たないという側面がある。今回、日本の首相がインドを訪問することで、そのお返しでG7に行くという道筋ができるので、国民に対しても面子を保つことができる。細かい話だが、これも外交において大事なこと」だと話した。