ジャーナリストの須田慎一郎が5月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。9月末で終了するガソリン補助金について解説した。

参院本会議に臨む岸田文雄首相=2023年5月24日午前、参院本会議場 写真提供:産経新聞社

ガソリン補助金、6月から段階的に縮小 〜9月末で終了へ

経済産業省は5月26日、物価高対策として2022年1月から始めたガソリン補助金を2023年9月末で一旦終了すると発表した。6月以降、2週間ごとに段階的に引き下げ、10月1日からは補助がなくなる。

飯田)今後も原油額が高騰した場合には、補助の継続なども含めて柔軟に対応するとしていますが、一旦終了するようです。

値上げ幅が大きい場合には、激変緩和措置という形で、今回のような補助金があってもいい 〜賃金上昇も進められているか、成果が出ているかどうかとセットで検証する

須田)値上げ幅が大きい場合には激変緩和措置という形で、価格上昇の痛みを緩和するために、今回のような補助金があっていいと思います。

飯田)値上げ幅が大きい場合には。

須田)ただ、物価高対策のなかで位置付けたときに、ガソリンや電力料金などがあるけれど、「なぜガソリンだけなのか」を合理的に説明できないと意味がありません。なぜ小麦、あるいは他のものについてはやらないのか。それが今回はよくわかりませんでした。

飯田)なぜ他のものはやらないのか。

須田)全体としては物価上昇について、本来なら賃金上昇と言うか、所得・収入の上昇でそれをカバーするのが王道です。ただ、これは中長期的な政策ですから即効性がありません。効果が出てくるまでに激変緩和措置として、部分的に補助金を出すことは行うべきだと思います。

飯田)激変緩和措置として。

須田)賃金上昇、あるいは所得・収入を拡大する政策を具体的に行い、成果が出てきているかどうかの検証もワンセットで進める必要があると思いますね。

需給ギャップが年間約10兆円、まずは公的セクターで埋めて民間の経済活動を活発化させる 〜それを行わないところに根本的な問題がある

飯田)賃金上昇について、政府はお願いベースという感じです。一部で税優遇等々が入るなどと言われていますが、昔からやっていることですけれど、どこまで効果があるのでしょうか。

須田)お願いベースでは意味がないのです。景気そのものをよくしないと、企業も賃金を上げるわけにはいきません。その一方で、景気を冷やすかのような増税や財政支出の抑制がある。直近で言うと、日銀計算ベースで年間の需給ギャップが約10兆円あるわけです。

飯田)約10兆円。

須田)これを民間セクターで埋めるのか、公的セクターで埋めるのかを考えないと、景気の拡大になっていかない。ただ、民間セクターで埋めるのが難しい局面の場合には、財政出動を行い公的セクターがまず埋めて、民間の経済活動を活発化させる。それで埋めていくというのが経済の常識ではないでしょうか。

飯田)それで回していく。

須田)それをやらないところに根本的な問題があると思います。

需給ギャップ約10兆円 〜少子化対策の財源は社会保険料の増額

飯田)需給ギャップ、日本の場合は需要不足と言われていますが、フル回転でものをつくったりサービスを出したりして、あるべき金額まで約10兆円くらい足りていない。これを放っておくと、いまは10兆円くらいのギャップがありますけれど、つくるのをやめたり企業が廃業してしまうと、供給の部分が目減りしますよね。

須田)加えて10兆円分が過剰供給になりかねませんから、「値下げ」というデフレの影響も出てしまうのですよ。

飯田)ギャップをそのままにしておくと。

須田)いつまで経ってもデフレが解消できないので、やはり財政出動、公的セクター等で国の財政支出で埋めていく。しかし、まったくそういう方向性は見えてきませんよね。来年度予算はどうなるのか。一方で防衛費増強に関しては所得税、法人税、たばこ税の増税で賄うという話です。さらに収奪して国民負担率を上げていく。少子化対策についても、増税はしないけれど社会保険料を増額したら、負担率は同じではないですか。

増税や社会保険料の増額 〜景気がよくなる要素がない

飯田)天引きされてしまいますからね。サラリーマンは特に。

須田)景気を悪くする方向に進んでいくなかで、これだけの物価上昇になれば国民生活はひっ迫します。

飯田)だから可処分所得をどうやって手元に残していくのか。

須田)残し、増やしていく方法を考えなければいけない。ガソリン補助金は打ち切られ、可処分所得も減ってしまえば、景気など100%よくなりません。

増税について、有権者が争点にして選択するべき

飯田)ガソリン補助金が取り沙汰された時期に、ガソリンの暫定税率分を取りやめるべきではないかと、国民民主党などが言っていましたけれど、その議論もなくなってしまいましたね。

須田)暫定税率をなくすということは、減税という発想になりますよね。それを財務省が嫌がるのですよ。

飯田)税金を下げることに関して。でも、そこは機動的に行ってもいいのではないですか?

須田)そうあるべきなのですが、そういった点が硬直化してしまっているのです。しかし増税は大好きなので、増税は機動的にやる。

飯田)減税は?

須田)減税は硬直化しています。

飯田)それでは苦しくなる一方ですね。

須田)税金と社会保険料で収入から約47%も収奪されるというのは、どう考えてもおかしいのだけれど、「金額べース、GDPベースに直すと先進国でも低い方です」と、わけのわからない理屈を立てる。噛み合っていかないのですよ。

飯田)金額で調べれば、ということですか。金額で言われてもと思いますね。

須田)「GDP対比の金額で調べて比べれば」ということです。そうではなく、我々の所得のうち何%が本当に使える分なのか。皆さん、給与明細を見るべきです。

飯田)明細を見ると驚きますよね。

須田)腹が立ってきますよ。

飯田)でも、そういうところは選挙の争点になりません。

須田)自民党も「増税します」と言って、選挙で勝てるわけがないですからね。でも、そういう方向に進んでいるのであれば、我々有権者が争点にして選択すればいいと思います。

飯田)「どうなのか」を聞きにいけばいいということですね。