■本日の言葉「rally」(集会)■

国際ニュースの英語表現をご紹介する月曜コラム、今日は「国際ニュース」となった普天間基地移設をめぐる沖縄県民大会についてです。多くの英語メディアが伝えたのですが、実際に沖縄・読谷村の現地で取材した記事はそうは多くありません。その中で米軍新聞が、自分たちに向かって「出ていけ」と唱える集会で拾った県民の生の声を伝えているのが、目を引きました。(gooニュース 加藤祐子)

○星条旗新聞が沖縄にいるのは当然とは言え

主催者発表で9万人が集まったという沖縄県民大会。沖縄で米軍基地に反対する「rally(集会、大会)」が開かれて数万人が集まったというニュースは、英語でも広く伝えられました。ただ(無理もないことですが)実際に記者が現地取材してるな、と思える記事は割合少なく、そのせいもあって、米軍の「星条旗新聞(Stars and Stripes)」のこちらの記事が興味深かったです。米軍が沖縄にいることが問題になっているわけですから、米軍新聞の記者が沖縄の現地にいるのも当たり前といえば当たり前なのですが。

「星条旗新聞」は、自民党の推薦を受けて当選した仲井眞弘多知事が出席したことについては、「自民党関係者が沖縄で反基地集会に参加したのは、初めてのことだ」と言及。タイ・バンコクの反タクシン派にも見えてしまうなあと私は不謹慎にも思った黄色い統一カラーについても、主催者たちがサッカーの「イエロー・カード」にちなんだものだと解説しています。

米軍基地再編と日米地位協定の見直しのきっかけとなった、1995年の沖縄米兵少女暴行事件の際の抗議集会(5万8000人)よりも今回は参加者が多かったと説明しつつ、今回の集会では、黄色いリボンを首にまいた犬を連れている人がいたり、辺野古移設で危機にさらされるジュゴンの着ぐるみを着た人がいたり、「楽しいお祭りのような雰囲気(had a festive atmosphere)」があったと伝えています。

そして(英語でも日本語でも)多くのメディアが、普天間県内移設への反対意見は一枚岩のように伝えがちな中、「星条旗新聞」は大会の一般参加者にはそれぞれの参加理由があったと紹介しています。

たとえば那覇市の67歳男性は「沖縄の基地は全部閉鎖してアメリカに移動してほしい。普天間をどこに移すかの問題ではない。全ての軍事基地はただちに閉鎖すべきだ」と話したと。その隣にいた69歳男性はむしろ日米地位協定が不満で、「基地が問題なのは、米兵が事件を起こすからだ。いったん基地に戻ってしまえば、沖縄の警察にできることはあまりない。あまりに不公平だ」という意見だったと。

そして、必ずしも集会には基地反対派だけではなかったという例として、(なんと)幸福実現党の関係者が「沖縄の人たちに基地の重要性を知ってもらいたい」とビラを配っていると紹介。これに触れた日本メディアはざっと調べた限りなかったのですが、「星条旗新聞」は幸福実現党について知ってか知らずしてか「海兵隊の駐留を支持している」と紹介しています。「日本にもそういう意見はあるのだ」と言わんばかりに……。

記事はさらに「集会に参加しない方がいいと思った」という36歳男性の意見も紹介。この人は「それほど単純な問題じゃない。米軍基地に反感はない」と。基地の外に住むアメリカ人の多くは隣人としていい人たちだし、「日本兵より米兵の方がよほど沖縄の人間に良くしてくれたと、うちのおばあちゃんはいつも話している」と語ったのだと。

「やまとんちゅ」のひとりとして、この最後のコメントはなんだ突き刺さりました。それを伝えているのが、たとえ米軍新聞だとしても。

ちなみにこういう話題にコラムで触れておいて、自分の意見は全く書かないのは卑怯な気がするので、手短に。私個人は前にも書いたように、日本の安全保障の負担を沖縄にばかり負ってもらうのはあまりにおかしいと思っています。かつて「東京に原発を!」という本がありましたが、単純な人口比で言うなら日本の総人口の1割が暮らす東京にこそ、基地の1割があるのが道理ではないのかと。本来ならば(東京都知事本局によると、都内の米軍基地の広さは計1603ヘクタールで、全国10万2704ヘクタールの1.56%。基地の数は8/134)。それが無理だから沖縄に——というのは「差別」的と言われても仕方がない。加えて、鳩山首相が志したようにより対等な日米関係を目指し、その議論をつきつめていくならば、日本の安全保障における自衛隊の役割や防衛政策そのものを深く議論することなしに、基地の移設場所だけを議論しても無意味なのではないかと思っています。憲法9条を廃止しろとか、日本が核武装するべきだとか、そういうことを性急に断定しているわけではありません。議論のつきつめた先を見据えずに、基地の場所だけ議論するのはどうなのだろうと思っているのです。