英語メディアが伝える「JAPAN」をご紹介するこのコラム、今週は、イギリスの調査会社による各国ネット行動調査で明らかになった衝撃的……かどうかはその人次第な、「デジタルな友人が最も少ないのは日本(Japan has fewest digital friends)」という結果についてです。なぜこういう結果になったかについては、「日本人の国民性」および「新興国」というのがキーワードのようです。(gooニュース 加藤祐子)

○ともだち100人できるかな?

ネタを探してネットを眺めていたら、BBCサイトで「えっ?」という見出しに目が止まりました。「最もデジタルな友人が少ないのは日本(Japan has fewest digital friends)」というこの見出しの「digital」の部分が最初は目に入らず、「友達が一番少ないのは日本」という意味だけが頭に飛び込んできたので、びっくりしました。「とっもだっちひゃっくにん、でっきるかなっ?」という歌がぐるぐるっと、頭の中を回り始めました。

なに? 外交のこと? 国防? なに?――と見直して「digital friends」のことだと確認し、「ああ……日本語のせいね」と憶測で納得。けれどもそれは早合点の見当違いだったのでした。

イギリスの市場調査会社TNSが46カ国で、16歳〜60歳の5万人から、ネット行動について聞き取りをしたというこの調査は、同社によると過去最大規模だとか。それによると、マレーシアの人たちがネット上で作る友達はひとり当たり平均233人で46カ国中1位。続いてブラジルが231人で2位、3位ノルウェーは217人。ぐっと下がってアメリカは178人。イギリスは164人。

この時点で早くも、「日本人のネット友達が少ないというならそれは、英語や中国語を使う人たちと比べて日本語人口が少ないからに違いない」という私の早合点はまったく的外れと判明しました。

調査結果をアジアで見ると、マレーシア人の友達233人をダントツに、シンガポールは183人、タイが178人、フィリピン171人。インド72人、ベトナム86人。アジアを北上するといきなり減って、韓国が49人、中国が67人、そして日本が28人――という結果になっています。

○キーワードは「新興国」

自分にネット上の友人が233人はおろか、28人もいるだろうかと心許なくなったのですが(ネット上はおろか、友人そのものが……)、調査会社TNSは日中ネットユーザーのオンライン友達の少なさについて(特に中国ユーザーはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に熱心という結果が出ているのに)、「友人の数は少なくても、近く親しい関係を大事にする文化を示している」と分析しています。これが当たっているかどうかはまた後で考えますが、このネット行動調査から浮かび上がる最大のキーワードは、「新興国(emerging country)」とか「新興市場(emerging market)」のようです。

ネット・インフラが早くから整備されてデジタル市場がすでに成熟している国よりも、デジタル社会に新しく参入した国、つまり新興国の方が、ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などオンライン活動の普及速度が速い――という分析です。たとえば、国ごとのオンライン利用時間はだいたい週20時間前後でそんなに目を見張るほどの違いはないのですが、利用者たちがネット活動のどの部分を重視しているかが大きく違います。

友人の数だけでなく、SNSの利用時間がもっとも多いのもマレーシア人で、週平均の利用時間は9時間。続いてロシア人が週8.1時間、トルコ人が週7.7時間。また、オンライン活動の中で何がもっとも大事かという質問に、マレーシアでは49%がメール、24%がSNSと答えています。フィリピンではメールが36%、SNSが43%。タイではメールが35%、SNSが22%。中国ではメールが19%、SNSが28%。香港ではメールが49%、SNSが25%。韓国ではメールが36%、SNSが12%。日本では42%がメール、趣味関係が16%、ニュース・スポーツ・天気情報が9%、SNSは6%。つまり同じアジアの中でも、オンライン活動に占めるSNSの比重と、その国の経済発展レベルとの間には、負の相関があるように見えます。

ちなみに、アメリカではメールが53%、SNSは17%。イギリスはメールが47%、SNSが24%でした。

調査によるとさらに、中国ではオンライン利用者の88%が自分のブログや書き込みの場をもっているとか。ブラジルでは51%、アメリカは32%。SNSや写真共有サイトなどネット上に自分の写真をアップロードしたことのある人の割合は、タイが92%でトップ。マレーシアは88%、ベトナムは87%。対する日本は28%。ドイツも48%とのこと。

つまり他の先進国と比べても、日本はSNSの比率が低いようです。

調査は、ネットの使い方によって利用者を――

(1)「Influencer (影響したい人)」=ほとんど常時ネットにアクセスしている。できるだけ多くの人に自分の意見を聞いてもらいたいと考える、熱心なブロガー。
(2) 「Communicators(表現者・発信者)」=自分について語ったり自己表現するのが大好きで、オフラインよりもオンラインの方が自由に意見表明できて、目立つことができると考える人。
(3) 「Knowledge-Seekers(知識を探す人)」=ネットを使って知識や情報を得て、自らを教育していきたいという人。
(4)「Networkers(ネットワーク派)」=日常が忙しいので、新しく他人と知り合ったり、すでにいる友人たちとの関係を持続するためにネットは不可欠という人。
(5)「Aspirers(意欲ある人)」=ネットを始めたばかりで、まだあまり使っていないが、これから色々やっていきたい人。ネットの方が気持ちを上手に表現できる、ネットを通じてオフラインの人間関係がより良くなると期待する人。
(6)「Functionals (機能派)」=ネット上で自己表現したくない、ネットは便利な道具ととらえる人。セキュリティやプライバシーが心配。

――という6つのグループに分けています。

これらのグループを地域別で見ると、(1)「影響者」が多いのは南欧・東欧、中東・北アフリカ、中国、インド、アジアの先進諸国(日・韓・香港のこと)。(2)「表現者」は中国とアジアの新興諸国。(3)「知識探求者」は中南米と南欧・東欧に多い。(4)「ネットワーク派」は北米と欧州に多い。(5)「意欲ある人」は、サハラ砂漠以南のアフリカ、中東・北アフリカ、インド、新興アジア。そして(6)「機能派」は北米、欧州、先進アジアに多いとのことです。

つまり、ネットにより大きな自由や自己表現を求める国々、自己啓発の手段とする国々、友人作りに重要だとする国々、そして「単なる便利な道具」という位置づけの国――と、それぞれのお国事情によってネットの意義が違うというわけです。