■本日の言葉「speak one's mind」(思っていることを率直に語る)■

英語メディアが日本をどう報道しているかご紹介するこの水曜コラム、今週も日本の政局についてです。とは言え、先週も書いたように英語メディアのほとんどは「民主党の勝ちで決まり」という論調。関心は主に、民主党が日米関係をどうするつもりなのかに移っているようです。(gooニュース 加藤祐子)

○民主党は日米関係をどうするつもりか

肝心のアメリカの二大紙、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの日本政局報道は相変わらず、熱心とは言いがたいのですが、その一方で通信社系を中心に多くの英語メディアは、民主党のマニフェスト発表や、自民党がそれを「ばらまき」「財源はどこだ」と批判していることもタイムリーに報道しています。

特に英国メディアの俯瞰的な論評や社説はおおむね、先週も書いたように自民党に下野を薦めている次第で、英タイムズ紙のリオ・ルイス特派員に至っては、「失策続きの自民党は下野すべき。政権交代が必要」とはっきり。

英フィナンシャル・タイムズはこちらで翻訳したように、民主党のマニフェスト発表前から早くも、政権獲得がいよいよ現実味を帯びるに伴い「民主党は対米姿勢を軟化させ」現実的な外交路線を進み始めたと報道。米軍再編にしろ地位協定にしろ、海上自衛隊のインド洋給油活動にしろ、「民主党が外交の継続性を重視していると分かって、日米安保条約の今後について心配する米政府関係者は喜んでいることだろう」と。

○思ったことを率直に、と

そして日本政治を詳しく英語報道し続けているロイター通信のリンダ・シーグ特派員は、民主党の岡田克也幹事長を単独インタビュー。主なテーマはやはり、日米関係です。

「日本野党は米に思ったままを語る方針(Japan opposition to speak own mind to U.S.)」という見出しで、「民主党は政権を握ったら、同盟国・米国に、自分たちの考えを率直に語る方針だが、米軍再編に関する重要な協定を無効にするつもりはない」と書いています。米国防総省がホッと一息ついている様子が見えるようです。

speak my mind to 誰それ」は「誰それに思っていることをはっきり言う」という意味の熟語で、そこには「言いにくいことを、ひるまずに」という意味が込められています。つまりは、民主党外交と自民党外交の違いはまさにそこで、それが「対等な日米同盟関係」の根本で、それが自民党には欠けていた——と言うのが、民主党の主張です。

○振り出しには戻らない

岡田幹事長はロイターに対して、民主党の現実路線シフトを英語読者に強調するかのように、「民主党は、米軍再編のための日米協定について、交渉を振り出しに戻したりするつもりはない(Democrats would not seek to go back to square one in talks with Washington)」と指摘し、「最初から、何もかもを白紙に戻すなどと言うつもりはない(We do not intend to say from the start that everything is a blank sheet)」と述べています(岡田氏の発言は、記事中の英語を私が日本語にしたものです)。

back to square one」は人生ゲームを連想していただければ意味が分かり易いと思います。直訳すれば「最初の四角に戻る」で、つまりは「振り出しに戻る」。「everything is a blank sheet」は「全てを白紙に」。

岡田氏はさらに、「自民党には、明確な外交政策がなかった。交渉相手が変わるたびに、同じことを繰り返していただけ」と話しています(繰り返しますが「 」の中は英語⇒日本語と翻訳変換されていますので、岡田氏が実際に使った日本語とは違うはずです)。

そこまで言うからには、民主党が政策インデックスに掲げた「関係強化」「関係進化」「主体的展開」などの様々な外交目標を、具体的に実現する道筋を、できるだけ具体的に見せてもらいたいものだと思います。マニフェストに掲げた「主体的な外交戦略」とか「改定を提起」とか「見直しの方向」とか、政策インデックスに掲げた「主張を明確に」とか「責任を積極的に果たして」とか「信頼関係の構築に全力」とかの精神的指標は、よく分かったので。


◇本日の言葉いろいろ

speak one's mind=思ったことを率直に言う
back to square one=振り出しに戻る
blank sheet=白紙

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◇筆者について…加藤祐子 東京生まれ。シブがき隊と同い年。8歳からニューヨーク英語を話すも、「ビートルズ」と「モンティ・パイソン」の洗礼を受け、イギリス英語も体得。怪しい関西弁も少しできる。オックスフォード大学、全国紙社会部と経済部、国際機関本部を経て、CNN日本語版サイトで米大統領選の日本語報道を担当。2006年2月よりgooニュース編集者。米大統領選コラム、「オバマのアメリカ」コラムフィナンシャル・タイムズ翻訳も担当。英語屋のニュース屋。