英語メディアが伝える「JAPAN」をご紹介するこのコラム、今週も民主党の代表選についてです。指導者がコロコロ入れ替わる日本政治に対して英語メディアが「回転扉 (revolving door)」という用語を使っていたのは自民党時代からのことですが、最近では「merry-go-round (メリーゴーラウンド)」という、楽しげなのか物悲しいのか分からない表現も、主要紙で使われています。経済大国日本がそれでは困るのは英語メディアのどれもが一致するところですが、では菅直人氏と小沢一郎氏のどちらが——となると、片方に断定する新聞もあれば、「うーんどっちもどっちで」と困っている様子の新聞もあり……。(gooニュース 加藤祐子)

○ メリーゴーラウンドの弊害

英『エコノミスト』誌が8月末の記事で、「デフレが居座っている」この状況で与党が分裂し、総理大臣が「たえまないメリーゴーラウンド(constant merry-go-round)」でくるくる変わっている場合かと書いているのは、先週のコラムでご紹介しました。

 その後、英『フィナンシャル・タイムズ(FT)』紙のアジア編集長デビッド・ピリング記者(前東京支局長)は9月1日付の記事で、「かつてアンディ・ウォーホルは、いずれは誰もが15分間だけなら有名になれるだろうと予言した。日本人は今やそれよりもっと平等なシステムを構築しつつある。日本では誰もが15分間だけなら総理大臣になれるのだ」と(いかにもイギリス人らしく)皮肉たっぷりに書いています。15分ならメリーゴーラウンド1回分よりは長い、とか喜んでいる場合ではありません(ちなみにこれも先週ご紹介したように、FTは社説で「小沢首相」になったら日本は「とんでもないことになる」とはっきり書いています)。

続いて米『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』紙も9月6日付の社説に「Japan’s Leadership Merry-Go-Round(日本の指導者たちのメリーゴーラウンド状態)」という見出しをとる始末。いわく、「日本では指導者たちがしょっちゅう入れ替わる。クラクラするし、ますます逆効果だ(increasingly counterproductive)」とバッサリ。これでは「新しい政策を導入する時間もろくにないし、新政策を効果的に実行する時間はもっと足りない」と。

日本は「世界第3位の経済大国」(2位ではない3位というこの呼び方がもう使われています)で、地域の大国なのだから、「活力あふれる、理念のしっかりしたリーダーシップを一定期間にわたり提供できる総理大臣」、「世界の景気後退脱出に役立つ経済政策に国民の支持をとりつけ、アメリカと強力な同盟関係を維持できる総理大臣」を必要としているのだと、NYTは主張します。

菅氏、小沢氏のどちらが勝つにしても、「最優先なのは経済でなくてはならない」とも。日本は巨額の公的債務と財政赤字の問題を抱えているが、「日本は内需刺激にもっと努力しなくてはならない」、「景気刺激策の継続が必要だ」と緩和政策をはっきり提唱しています。

○「単細胞」発言の弊害

ならばNYTは(FTとは違い)「経済成長浮揚のための支出拡大により積極的な」小沢氏支持なのかと思いきや、「アメリカとの緊密な関係強化も重要だ」とも。米軍基地移設について「菅氏は前進を約束した」が、小沢氏は「yet again(またしても)」交渉を「再開したがっているのだ」と少し辟易とした調子です。小沢氏は交渉再開という「その非現実的な立場を再検討する必要がある。代案はないと本人も認めているし、アメリカ政府側が反発するのは必至だからだ」と。

 そして、NYTはこうも釘を刺します。「アメリカ人は単純な『単細胞生物だ』と言った小沢氏の先月の発言は、新しい友人をこれから作ろうというのに最適なやり方とは思えない」と。そりゃ、そう言いたくもなるでしょう。いくら経済政策では小沢氏が好ましいと思っても、安全保障や外交面ではおいそれと支持できないし、まして自分たちを「単細胞」呼ばわりした人を……というのは、正直なところだろうと察します。

 誰が首相になるにせよ、「次の総理大臣が、まとまった経済と外交政策を実行できるだけの間、在任してくれることを願う。国のリーダーが回転扉状態で政策目標が絶え間なく替わり続けるというのでは、日本にとって好ましくないし、世界全体にとっても好ましくない」と、NYTはごくごく当たり前だがなかなか実現しないアドバイスで締めくくっています。