■本日の言葉「in disgust」(呆れかえって、うんざりして)■

英語メディアが伝える「JAPAN」をご紹介するこのコラム、今週は「ますます愛されなくなっている」鳩山首相に呆れつつも、実は一部の米国メディアが「よくやった」とやんわり評価していることなどについてです。もっとも、実を言えばアメリカは今、日本どころの騒ぎではないのですが……。(gooニュース 加藤祐子)

○ 「驚くべき優柔不断」

CNNを観ているとそれしかやっていない気がするくらい、米国メディアの今の関心事はもっぱら、メキシコ湾の原油流出です。「オバマのカトリーナ」と言われるほどのひどい事態ですから、無理もありません。その中で日本の基地問題に対する関心は、かなり、相当に薄い。けれども、「普天間移設をめぐり社民党の福島瑞穂党首が閣僚罷免され、社民党が鳩山連立政権から離脱」という一連の動きはさすがに、主要メディアの記事になっています。

たとえば5月31日付『ニューヨーク・タイムズ』紙では、マーティン・ファクラー東京特派員が、社民党の連立離脱は「ますます不人気(increasingly unpopular) 」で国民の半数が辞任を願っている首相にとって、「恥ずかしい打撃(embarrassing blow)」だったと書いています。しかも連立離脱の理由は、鳩山氏が沖縄に対する約束を守れなかったことに「in disgust(呆れかえって、うんざりして、愛想を尽かして)」だったと。

日本語に訳すと辞書的には上記のような表現になってしまうのですが、実際には「disgust」という単語はもっと「胸が悪くなるほどの嫌悪」の意味が強い。「ディス・スト」と口に出すと分かるかもしれませんが、とても語気の強い言葉です。「I'm disgusted with 誰それ・何それ」と言うのは、「本当に強い嫌悪感を抱いて呆れかえっているのだ」というニュアンスなので、対人関係で使う際には最後通牒くらいの覚悟が必要です。

つまり、社民党は鳩山氏のやりように「嫌悪感を抱いて」連立を離脱した——と、『ニューヨーク・タイムズ』は書いていると。まあ、福島党首が鳩山首相に直接「I'm disgusted with you」と言ったわけでもないでしょうが、とりあえず同紙記事は、そういう強い言葉を使って社民党の離脱を形容しました。

31日付『ワシントン・ポスト』紙でもブレイン・ハーデン東京特派員が、「ますます愛されなくなっている(increasingly unloved)」総理大臣だと、『ニューヨーク・タイムズ』紙と似たような枕詞を鳩山首相につけています。

そして、かねてから鳩山政権に批判的だった同紙らしく、昨年夏に歴史的な政権交代を実現した鳩山氏がそれ以降は「驚くべき優柔不断ぶりを露わにしてきた(Hatoyama has since shown an astonishing capacity for indecision)」とバッサリ。「astonishing capacity for indecision」を直訳しますと「決断できないという、驚くほどの能力」です。とんだ能力もあったものです。

いわく、首相の政権はここ9カ月というもの、海兵隊基地の移設先をめぐり大半の時間を「バカなマネをしていたずらに費やしてきた(frittered away)」と。

社民党連立離脱の影響については、だからといって民主党が政権を追われるわけではないが、「7月の参院選で過半数を獲得できなくなるかもしれないし、法案成立能力が制限されるかもしれない」と説明しています。「連立」という経験がないアメリカの読者には、「だからといってすぐに鳩山政権が変わるわけではない」と念を押すのは、必要なことかと思います。