明けましておめでとうございます。英語メディアが伝える「JAPAN」なニュースをご紹介するこのコラム、今年もどうぞよろしくお願いいたします。年初ですからお正月の話題にします。といっても残念ながら、おめでたい話ではありません。今年も複数のお年寄りがお餅を喉に詰まらせてしまったというニュースが、いくつかの英語メディアに取り上げられたという話題です。(gooニュース 加藤祐子)

○ライスケーキの危険

皆様はお正月をいかが過ごされましたでしょうか? 私は前回書いた通りの「のんべんだらり」というか、「ひねもすのたりのたり」でした(この「ひねもすのたりのたり」が職場の20代若者たちにまったく通じず。新年早々、寄る年波を感じました。蕪村の「春の海〜」の句、もう学校で習わないのですね……)

寄る年波と言えばお年寄りです(強引ですが)。正月恒例と言ってしまってはすごく語弊があるのですが、今年もまた残念なことに、お正月のお餅を喉に詰まらせたお年寄りが何人か亡くなったそうです。老親のいる身としては、お餅が危険をはらんでいるのは分かっていても、せっかくのお正月には食べてもらいたいし……というジレンマ、よく分かります。

一方で、「お正月にはお餅」という風習はおろか「mochi」そのものが分からない外国の人には、「???」なニュースに思えるようです。日本に詳しいメディアとは言い難い英大衆紙『サン』で、「ライスケーキが年金生活者6人を死なす 日本」という見出しを見つけたとき、「おお、サンが取り上げるのか。なるほど、サンらしい」と妙な感慨を覚えました。

見出しの「OAP」とは「old-age pensioner」の略で、高齢年金受給者の意味。そして「rice cake」が「餅」を意味する英語の造語です(甘いものなのかと勘違いされがちです。「cake」には「a cake of soap」という表現があるように「一定の形をしたかたまり」という意味もあることから、餅を「rice cake」と言うようになったのかな、と想像しています)。

そして(日本時間4日午後3時現在)記事についた写真を見ていただければ一目瞭然。……えーとこれは(呼び方はいろいろあるようですが)米パフですやん! お餅ちゃいまっせ!と、なぜか関西弁でつっこみたくなりました。

『サン』の記事本文は「『mochi』と呼ばれるライスケーキは、日本の家庭が新年に好んで食べるものだが、非常に粘着性が高いため、よく噛まなくてはならない」とちゃんと説明しているのに。

いずれにしても、日本のことをよく知らない人が多い(だろうと勝手に想像する)『サン』の読者たちが「日本人はなんでまたそんな……」と思っただろうことは、想像に難くありません。

AFP通信も「日本で6人が新年のライスケーキで窒息死」と配信。お正月の1日-2日にかけて、いずれも70代以上のお年寄り6人が伝統的な「"mochi" rice cakes」を喉に詰まらせて死亡し、5人が重体だという事実関係を伝えるのに続いて、「日本では新年が最大のお祝いの一つだ。この時期、各家庭は伝統的に『"ozouni" soup』を作り、ベタベタするライスケーキを野菜スープの中に入れる」と説明しています。

この「野菜スープ(vegetable broth)」が「野菜の入ったスープ」という意味なら、その通りです。けれども「野菜でとったスープ」という意味なら、ちょっと違いますね(そういうお雑煮もあるのかもしれませんが)。

ちなみに私は、周りの人に「おうちのお雑煮はどういうものですか?」と聞いて回るのが好きなのですが、ほとんど必ず「え、普通ですよ」という答えが真っ先に返ってくるのが楽しいです。知りたいのは、その「普通」が何か、なので。出汁は何で、具は何で、お餅の形は丸か四角か。本当に地域によって、家庭によって、さらに言えばその家庭の歴史によって(今は○○在住だがおばあちゃんが△△出身だから……とか)、本当に多種多彩なので。職場ケンミンショーのようなものです。

なので上記のAFP通信記事の「野菜スープ」に私がひっかかったのは、我が家のお雑煮が「野菜スープ」とは言い難いからです。東京風なので、野菜はちょっとの小松菜と三つ葉しか入りません。一方で「里芋とニンジンと大根とシイタケが入ります」という雑煮が「普通ですよ」な人なら、「なるほどあれは確かに野菜スープだ」と、するりと納得したかもしれません。