<たびたび報じられるアジアの犬食問題。韓国では夏場の滋養食に、インドネシアでは名物のサテに姿を変え何も知らない観光客の胃に収まるという報道も。はたまたベトナムでは、政府要人が怒りを抑えきれないほどの国際問題に......>

韓国でスープになる直前に助かった犬たちのニュースが報じられた。今回、救出されたのは成犬149匹と子犬。狭い檻に押し詰められた犬たちは糞尿にまみれ、病気を患う犬も多かった。保護されなければ、屠殺され、食肉として売られる予定だったという。英デイリー・メールが7月24日に報じた。



7月10日、韓国の食用犬飼育施設から保護された犬たち Kim Hong-Ji-REUTERS


韓国では犬肉を食用に販売することは法律で禁じられているが、実際にはこの法律はほとんど施行されておらず、取引市場や犬食のレストランも公然と営業を続けるほど、犬食が盛んだ。特に夏本番を控えると、「伏日(ポンナル)」という暑気払いで滋養食を食べる日(今年は7月12日、7月22日、8月11日)のために、毎年100万匹の犬が殺され、スタミナ満載のスープとして人々の胃を満たすという。

救出された犬は、アメリカに移され、フロリダ州、イリノイ州、インディアナ州、ニュージャージー州などの動物避難施設に一旦収容され、新たな家族に引き取られる予定だ。

韓国だけじゃない犬食の波紋

現在、アジアで犬食を禁じているのは、香港、フィリピン、台湾、タイ、シンガポール。一方、中国、ベトナム、インドのナガランド州、インドネシアなどでは毎年、合計約3000万匹の犬が食用に殺されていると見られる。

最近では、インドネシアのバリ島を訪れた外国人観光客らが自覚のないまま、犬の肉を食べていると報じられ、波紋を呼んだ。バンコク・ポスト、ロイターなど複数のメディアによると、オーストラリアの動物愛護団体「アニマルズ・オーストラリア(AA)」がバリ島の犬食について調査を実施。犬の捕獲から、食肉処理、屋台の売り子まで1カ月間にわたり情報を集めたところ、非人道的かつ不衛生な実態が浮き彫りになった。

AAが公開した動画には、インドネシア語で「犬の肉」を意味する「RW」と記されたボックスからサテ(串焼き)を取りだして外国人観光客に渡す売り子が映っている。バリ島で犬肉の消費は禁止されていないものの、観光客らは「騙された」として動揺を隠せない。「本当だとしたらオーストラリア人はバリに来ない」といった声も上がっており、インドネシア政府も対応に乗り出した。

しかしながら、バリ州のマンク・パスティカ知事はAAの告発を否定し、このような事実は確認できていないとした。インドネシアのいくつかの地域では犬食が見られるものの、バリ島については、「そもそも地元の人は食べない」という指摘もある。

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現地で長年、犬の保護とリハビリのための施設を運営するリンダ・ブラーは、「バリ島の人の多くはヒンズー教徒で宗教上の理由で犬は食べない。犬肉の取り引きは、国内の他の地域から人が入ってきて金儲けのために増えた」と説明する。「中国やベトナムで犬食は普通のことだろうけど、バリでは違う。ここ10年の話だから、バリで犬食を止めるのは難しくないことだと思う」。カナダのニュースサイト、グローバル・ニュースが報じた。

就労先でペットが消える

一方、ベトナムでは近隣の国をも巻き込んだ騒動になっている。海外に労働者を多く送り出しているベトナムだが、マレーシアに渡った一部の労働者のせいで、現地のペットの犬や猫が姿を消したというのだ。7月19日付のベトナムのニュースサイト、VNエクスプレスが伝えた。

政府系ニュースサイト、インフォネットが報じるところによると、事態を重く見たベトナム労働・傷病兵・社会省海外労働局のハ・ミン・ドゥク副局長は、ベトナムから海外へ渡る労働者は規律がないことが問題だと語った。特に犬や猫の肉を好む男性労働者を批判し、「彼らは集まるたびにお酒を飲んだり、賭けごとに興じる。一部の労働者がマレーシアに行ってペットが消え始めるし、それだけじゃなく見つけた鳥は全てお粥の中に突っ込んで食べる」と言った。

VNエクスプレスは、ベトナムでは毎年約500万匹の犬を食べると報じている。特に北部地域は犬食の文化が根付いている。

ただ、働きに出た先の国では違う。現在ベトナムは、工学、看護、観光など複数の分野でASEAN諸国へ労働者を送り出しており、今後さらに規模が拡大すると予想される。ドゥクは、海外就労を希望する者に、より現代的な考え方を教える必要性を指摘。「マナーを教えることは、彼らのキャリアに大きな違いをもたらすだろう」と語った。

国際化の波に乗って、文化の異なる国との関わりが、広がり続けるアジア。犬食だけでなく、様々な違いを理解し、マナーを浸透させるといったソフト面での取り組みを強化していくことが、ひとつのカギではないだろうか。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部