<大統領選介入疑惑やシリア問題などで悪化の一途をたどる米ロ関係がますます険悪に>

ロシア政府は、ロシア国内にあるアメリカ大使館や領事館で働く外交官など職員755名を国外退去にする、という方針を発表した。これを受けて米国務省は7月31日、「遺憾であり、必要のない措置だ」と述べた。

国務省当局者は、本誌に宛てた声明の中で、「国外退去による影響と今後の対応について、現在検討中だ」と述べた。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は7月30日、国営テレビのニュース番組で行われたインタビューに応えて、ロシアに駐在するアメリカ政府職員を9月1日までに出ていくよう要求すると述べた。ロシア政府はさらに、ロシア国内にあるアメリカの外交施設2カ所を閉鎖する。

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2016年12月29日、バラク・オバマ米大統領(当時)は、2016年大統領選挙でロシアがスパイ行為と選挙介入を行ったことを理由に、ロシアの外交施設を閉鎖したほか、ロシアの外交官35人を追放すると発表した。

今回のプーチンの措置は、それと比べても厳しい措置だ。アメリカ上下両院でロシアへの制裁強化法案が可決されたことを受けた報復措置だ。ドナルド・トランプ大統領もこの法案に署名する予定だと、ホワイトハウスは明らかにしている。

親ロ派トランプも仲良くできない

アメリカは、モスクワに大使館、サンクトペテルブルク、エカテリンブルク、ウラジオストクに領事館を置いており、全体で約1210人の職員がいる。2013年にアメリカ国務省監察官が公表した報告によると、そのうち934人は「現地採用」のロシア人だ。

アメリカ国務省に対し、今回の退去命令で現地採用のロシア人職員に影響があるかについて尋ねたが、回答は得られなかった。

トランプはこれまで、ロシアに対する制裁強化に強硬に反対してきた。それどころか、2016年12月にオバマ政権が閉鎖していたアメリカ国内のロシア外交施設2カ所の返還について、密かに検討していた。それが制裁強化法案に署名するとしたら、よほどロシア疑惑のプレッシャーが強くなっている表れだろう。

ロシアに対しては2012年以降、人権侵害や汚職などに加え、2014年3月にウクライナのクリミア地方をロシア連邦に編入したことに対して、一連の制裁が科されてきた。

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トランプは今回の制裁法案可決に関して、大好きなツイッターでも沈黙を守っている。

マイク・ペンス米副大統領は7月31日、次のようにツイートした。「ロシアは引き続き、武力を使って国境線を引き直し、主権国家の民主主義を侵そうとするだろう」

さすがのトランプも、仲が良いとはなかなか認めにくい雰囲気になってきたことは確かだ。

(翻訳:ガリレオ)


グラハム・ ランクツリー