<着工から30年の時を経て、一時は中断されていた北朝鮮の幻の高層ホテルが遂にお披露目へ>

北朝鮮の首都ピョンヤンで建設が中断し、一時は忘れ去られかけていた「柳京ホテル(リュギョンホテル)」のオープンが近づいているようだ。105階建、高さ330メートルの超巨大ホテルに接続する2本の道路が開通し、建物の全貌が明らかになった。AP通信によると、7月27日、ホテルの正面に看板が取り付けられた。

Entrance wall to Pyongyang's Ryugyong Hotel demolished https://t.co/sLCNR71gg3 pic.twitter.com/Op2F43deW7— NK NEWS (@nknewsorg) 2017年7月27日



工事が始まったのは、およそ30年前。1988年開催のソウルオリンピックに対抗して、社会主義国家の祭典「第13回世界青年学生祭典」の開催に華を添える、国家の威信をかけた一大プロジェクトだった。

初期の建設費だけで国内総生産(GDP)の2%に相当する、この巨大な建設プロジェクトは無謀だった。工事の進捗は予想通りに遅れ、青年学生祭典にも間に合わなかった。このときは急きょ、別のホテルを2つ建てて、やり過ごした。一方この巨大ホテルは、備品はおろか窓も外装すらないまま放置され、メディアからは「滅びのホテル (Hotel of Doom)」と呼ばれていた。

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北朝鮮は2008年に工事を再開。それまでに7億5000万ドル以上を費やしていた。さらにロイターの報じた試算では、追加で20億ドルが必要だった。

政府としては、2012年の金日成国家主席の生誕100周年の祝賀行事の一環としてホテルを完工したかったが、またしても叶わずに終わった。アメリカの北朝鮮専門ニュース サイト「NKニュース」によれば、2011年にホテルに窓ガラスが設置されたのを最後に、工事は中断していた。

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滅びのホテルに灯り

事態が動いたのは2016年12月。アメリカが入手した映像から、滅びのホテルの中で動く光が確認された。安定して電気が供給されていることを示している。

もともとの計画では、客室3000、展望エリアに回転レストラン、居住スペース、会議場など盛りだくさんの複合施設になる予定だったが、北朝鮮は計画を縮小し、実際には、客室150、ショッピング施設、オフィス、レストラン、宴会場を備えた施設として開業するとみられる。

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過去に旅行ツアーも

一時期は、建設現場を観光コースに取り入れた外国人向けのビジネスも展開していたが、建設の中断を機に、それも取り止めになった。

2012年9月、北朝鮮の認可を受けた、中国・北京を拠点にする旅行会社「高麗ツアーズ」は、柳京ホテル訪問を敢行した。高麗ツアーズの担当者によると、内部はまだ建設途中だったが、ロビーや会議室は完成間近だったようだ。ただ、「信じられないほど素晴らしい」ものだったと語っている。

オープンの日程は不明だが、英テレグラフは2016年、ホテルの建設を請け負うエジプト企業の幹部がピョンヤンを訪れたと報じている。今度こそ、「滅びのホテル」は日の目を見るのだろうか。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部