昨今、配属された部下が年上だったり、上司が自分より若かったりする、立場・役割と年齢の逆転が増えているようだ。「成果主義の導入によって後輩に追い抜かれてしまった」「中途入社で自分より年上の新人が入ってきた」「定年再雇用によって、自分がかつて育てた部下が上司になった」「長期間パートで働いてきたベテランの年長者のマネジメントをすることになった」などといった話を身近で聞いたことはないだろうか。あるいは今春の人事で、あなた自身が経験する可能性もある。

 「役割と年齢は違う」と割り切り、全く気にならない人にとっては取るに足らない話であるが、配属当初は特に抵抗感を抱いたり、距離感に戸惑ったりする瞬間があるかもしれない。年功序列の文化のなかで育ってきた世代にとっては、それは自然な感情だろう。しかし人事配置を考えるうえで、年上・年下という属性に配慮する余裕がなくなってきているのも事実である。

 個人が抱く感情までは変えられないが、職場の人間関係がギクシャクしてしまうことを避けるために、何に気をつければよいか。職場風土やおのおののパーソナリティー、経験・能力、年齢差などにもよるが、ここでは大原則として、以下をお伝えしたい。

 まず年上の部下を持ったら、相手を尊重しつつも、自信を持って指示を出すようにしたい。遠慮が先に立てば、かえって相手のプライドを傷つけてしまう。逆にポジションパワーを盾に、上から目線の物言いをするのも論外である。「社会人の先輩」に対する最低限の礼儀は守るべきだろう。一方、年下上司に対してはこの裏表である。先輩風を吹かせることは禁物だ。

 そして、お互いの役割についても共通認識を持っておきたい。職場はチームであり、それぞれが補い合ってこそ強くなれる。例えば相手が年上部下なら、その経験や人脈を生かせるような業務を任せる。年下の上司の下で働くなら、職責を意識しつつも必要に応じて助言する。こうすれば、チームもうまくまわるだろう。ポイントは、コミュニケーションの総量を増やすことである。そうすれば、相手の思いに近づくことができるからである。

 そのときは、ぜひ上司から声掛けを。初めが肝心である。
(文=高橋美紀<中小企業診断士>)