再生可能エネルギーによる二酸化炭素(CO2)の排出抑制やゴミを燃やさずにリサイクルするなど、環境保護と経済を両立させる技術の需要は今まで以上に高まっている。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を背景に大手企業だけでなく、スタートアップも技術開発競争を加速させている。

材料開発を手がけるスタートアップ、AC Biode(ACバイオード、京都市左京区)は電池や機能性触媒などのアプローチで環境問題の解決を目指す。

直流ではなく、交流電池

ACバイオードが手がけるのは交流電池という珍しい電池だ。

現在、使われる一次電池や二次電池は直流電池だ。直流と交流の違いは電圧と電流の流れにある。

直流は電圧や電流が一定の電気のこと。対して、交流は時間とともに電圧や電流が変化する電気だ。ある時はプラス、ある時はマイナスというように電流の向きが変化する。主に送配電や高出力モーターに使う。

電池では交流の電気をコンバーターで直流に変えて蓄える一方、モーターなどで使う時は電気を取り出し交流に戻し使う。この際に1〜2割のロスが生じるとされる。交流電池であれば、この変換ロスを抑えられる。

同社が開発する交流電池

ACバイオードの交流電池は正極と負極の間に、正極にも負極にもなる「バイオード」と名付けた両性電極を並べる。電流がプラスやマイナスに変化するのに合わせて、電気回路でスイッチングし充放電する。また電池を並列にして内部抵抗を減らし、電圧降下を改善させることで効率を上げる。久保直嗣最高経営責任者(CEO)は「一つの電池の中でスイッチング回路まで入れ込み、コンパクトにした」と説明する。

交流電池がスイッチングする模式図(同社HPより)

また、電極間の電位を抑えることで安全性を向上させた。変換による電気のロスを抑えられる上、寿命も既存のリチウムイオン電池に比べ2倍伸びるという。

モビリティで応用

製造も工夫する。既存のリチウムイオン電池の部材をそのまま使用することでコストを抑える。また、次世代電池である全固体電池での応用も視野に入れる。同社は高電圧かつ大容量である交流電池の特徴を生かし、モビリティでの活用を想定。まずは電動自転車での搭載を見越し、実証実験を行う予定。将来はドローンや電気自動車(EV)などに応用し、航続距離を伸ばすなどのメリットを訴求したい考えだ。19年にはEU機関を母体とし革新的なエネルギー研究を支援するオランダのイノエナジーから出資を受けている。

久保CEO

同社のソリューションは電池だけではない。ポリマーである廃プラスチックを解重合する触媒を大阪大学と共同研究する。廃プラスチックをセ氏120度から300度でプロプレンガスやエタノールへ原料化する。従来よりも低温、低圧で反応を起こせることからCO2の排出量が少なくて済む。今後、化学メーカーと協力し商業化を目指す。久保CEOは「地球全体での環境問題の解決に寄与したい」と力を込める。

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