建設用3DプリンターのPolyuse(ポリウス、東京都港区)と入交建設(高知市南久保)は3Dプリンターを使った集水ますを、国内の公共工事で初めて設置した。高知県安芸市の南国安芸道路の改良工事で実施した。

国土交通省はICTなどを活用して、建設現場の生産性向上を目指す「i−Construction(アイ―コンストラクション)」を推進する。建設用3Dプリンターは構造物施工の生産性向上できる可能性がある。ポリウスの岩本卓也最高経営責任者(CEO)と大岡航最高執行責任者(COO)に、3Dプリンターの普及や今後の事業展開について聞いた(以下、敬称略)。

−2021年は公共工事での施工などで3Dプリンターの実証を多く行いました。

大岡:21年は3Dプリンターを使うユースケースをいかに作るか、に注力した。多くの企業から3Dプリンターへの関心が寄せられているが、どのように使うかの知見が足りていない。適応事例を増やしていくことが普及には必要だと考えている。

22年度も公共工事での実績を作っていく。5月には愛媛県の公共工事で、白石建設工業(愛媛県新居浜市)と組んで集水ますを3Dプリンターで作る。その際、3Dプリンターの特性をいかした複雑な構造物にしたい。今の公共工事では決まった規格を使うことが多いが、耐久性などのメリットを提示していくことで、円柱など異なった形のものを積層したい。そのほかにも現場で直接、構造物を印刷する実証もしたいと考えている。

 

−現状は土木工事での活用が多いです。

岩本:現状、人手不足や資材高騰が工事価格に跳ね返ってきている。特に人手不足は深刻で、高齢の人材がいないと現場を回すことができない状況だ。このままの状況が進めば、10年後には工事自体が行えないことも起こりえる。当社としては、3Dプリンターは人手不足に対する一つの回答だと思っている。実際、そのようなニーズは大きい。人員が確保できない事態に備えて、3Dプリンターの現場運用の経験を蓄積する必要がある。ここから5年間が正念場になると思っている。

−モデル機器の販売も始めます。

岩本:パートナーの建設会社に向けて、3Dプリンターを売り出す。提供企業数は売上高50億円規模の10数社が中心になる。「(3Dプリンターを)使ってみたい」というニーズを掘り起こしていく。これまで我々が行ってきたユースケースと合わせて、使い方のノウハウを提供してサポートする。

また、土木工事においては発注事業者の理解も欠かせない。これまでは3Dプリンターを使った施工がなかったため、使用に二の足を踏む施工者がいるのも事実だ。工期の短縮や構造物の耐久性など目に見える利点を示しながら、発注者から「3Dプリンターを使ってほしい」と言われるような状況を作っていかないといけない。そういった「市場のコンセンサス」は重要だ。公共工事での実績も発注者サイドの理解につながると考えている。

−22年は普及に向けた地盤固めということになるでしょうか。

岩本:その通りだ。23年から24年ごろに現在の3Dプリンターを一般販売できるところまで持っていきたい。そのために3Dプリンターを適応できる事例拡充に合わせて、機器や混和材の供給網(サプライチェーン)の確立も必要だと考えている。また、ハードウエアやソフトウエアにおける使いやすさを高めることも必要だ。誰でも構造物を積層できるようにしないといけない。建設用3Dプリンターは現場の人が「使える」と思ってもらえる製品にならないと普及しないと考えている。


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