旭化成ファーマ(東京都千代田区)はこのほど創薬スタートアップのアークメディスン(茨城県つくば市)が開発している非臨床段階の「選択的エンドセリンA受容体拮抗薬」について、同社と独占的ライセンス契約を締結した。契約一時金および開発・販売に応じたマイルストーンは合わせて最大359億円。さらに売上高に応じた段階的なロイヤリティを支払う。

アークメディスンは先行薬を改良し、新薬候補化合物を創出する技術に強みを持つ。従来よりも新薬開発のスピードを早める。既存の創薬とは異なるアプローチを取る同社の今後について、田中圭悟社長に聞いた。

―コア技術である「HiSAP(ハイサップ)」について教えてください。

薬効が弱い、副作用がある、飲みにくいなどの課題を抱えた先行薬の一部を自社開発の特殊合成原料で置き換えて、課題を克服した新薬候補化合物を生み出す技術だ。数百種類の中から最適な特殊合成原料を、ブロックのパーツのように組み合わせて実現する。我々の仕事は薬の出発点になる「リード化合物」を見つけ最適化して、他社にライセンスアウトする。いわば薬の設計図を作ることだ。

特徴は開発スピードの早さとコスト低減だ。先行薬をベースにするため標的分子に対して目的の活性を持つ「ヒット化合物」を探す期間を短縮できる。その分、当然リード化合物を見つけ、最適化するまでも素早くできる。

開発コストに関しては、経済産業省の資料によれば、1個あたりリード化合物の最適化にかかる費用は約15億円。当社の資金調達額は約10億円で9個のパイプラインを保有している。このことから少ない費用で開発が行えていることが伝わるかと思う。

―低分子医薬を開発ターゲットにするなど、創薬スタートアップの中では独自のポジションです。

新薬のトレンドはバイオ医薬になってきたが、低分子医薬は今後も有望な市場だ。スタートアップが少なく、上手く参入できれば大きなリターンがある。また先行薬を改良する特性上、疾患領域を限定しなくて済む。我々としても市場規模よりもメディカルニーズが強い領域に注力していく。

―旭化成ファーマとの契約の意義をどのように考えていますか。

技術の特徴である開発スピードの早さを証明できた。旭化成ファーマには動物モデルにおいて優れた結果を示したことが評価された。今後ライセンスする計画の化合物にも良い影響があると考えている。

当社としてライセンスした化合物を販売にもっていくためにコミットしてくれる提携先と契約をしたいと考えている。今回の契約については旭化成ファーマから、その熱量を感じた。

―今後の戦略はどうしますか。

今回同様にライセンス契約を進めていく。また、2022年後半から23年の間に数十億円の資金調達を行う予定だ。その資金を使って、十数個のパイプライン開発を進める計画だ。また製薬企業との共同開発を通じて、新薬化合物を生み出していきたい。大学とも協力して創薬合成にイノベーションを起こしたい。事業を拡大して24年の新規上場(IPO)を目指す。

田中社長(同社提供)