BioPhenoMA(東京都新宿区、藤井直人最高経営責任者〈CEO〉)は、極微量のたんぱく質を検出できる技術を事業化する。2024年度に検出装置の試作モデルを完成し、製薬企業や大学向けに研究用として装置の技術提供サービスを始める。従来の質量分析装置に比べて高い精度で15―30分程度で目的のたんぱく質を検出できる。研究に限らず、医療分野で病気の早期診断ツールなどへの活用も見込まれる。

たんぱく質は生体現象機構を解明する上で重要で革新的な検出方法が期待されてきた。

同社は早稲田大学の伊藤悦朗教授らの成果である「酵素サイクリング改良法」を基に起業。早稲田大学ベンチャーズ(WUV、同新宿区)から2億円の投資を受けた。調達資金で検出装置の試作モデルを開発し、サービス提供に向けた運用資金に充てる。試作モデルは持ち運び可能な卓上サイズとし、どこでも簡単にたんぱく質を検出できる装置にする。

BioPhenoMAは25年にも自社の研究ラボを持ち、26―27年に日米欧に研究拠点を置いて各国の企業や研究機関と共同契約を締結したい考え。28年には新規株式公開(IPO)を目指しつつ、製薬・診断薬企業などを想定したM&A(合併・買収)も視野に入れる。

同社の基盤技術は目的のたんぱく質に目印となる分子を結合させて検出する「エライザー法」と、化学反応を加速させる酵素の働きを利用した「酵素サイクリング法」を組み合わせた。反応系を最適化するために検出で使う基質を独自で合成し、使う酵素を選別することで短時間に精度良くたんぱく質を検出できる技術を約10年かけて確立した。

従来法は得られるデータにノイズが多く目的のたんぱく質を検出する精度が低かった。