内閣府は12日に、地上の位置と時刻を正確に特定できる準天頂衛星「みちびき」3号機を種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の国産ロケット「H2A」35号機で打ち上げる予定だ。米国や欧州の衛星測位システムより高い、数センチメートルの位置精度を生かし、自動運転や農業技術などに応用する。10月にも残り1機を打ち上げ、2018年度からの4機本格稼働体制へ移行する。

 みちびきは日本版全地球測位システム(GPS)と呼ばれ、内閣府が運用する。1、2、4号機が静止軌道に対し軌道面を40―50度傾けた「準天頂軌道」を取るのに対し、3号機は気象衛星「ひまわり」などが飛行する上空3万6000キロメートルの静止軌道を周回する。

 3号機は重さ4・7トン、高さ6メートル弱で、軌道上展開後の全長は約19メートルとなる。2―4号機の開発や運用、打ち上げなどにかかる費用は2000億円強。

18年度から4機体制
 内閣府と三菱電機は8日、三菱電機鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)で、日本版の全地球測位システム(GPS)「準天頂衛星システム」を担う測位衛星「みちびき」4号機の機体を公開した)。国産ロケット「H2A」で種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から10月の打ち上げを検討している。11日に打ち上がる3号機に続き、4号機が軌道上に上がり、2018年度からの4機体制で衛星測位システムが本格稼働する。

 4号機は、6月に打ち上がった2号機と同じ性能を持ち、静止軌道に対し軌道面を40―50度傾けた「準天頂軌道」をとる。

 みちびきは数センチメートルの位置精度での測位機能を持つ。高精度測位を利用し、自動車や農業トラクターの自動走行、無人飛行機(ドローン)の自動飛行などへの応用が期待される。2―4号機の開発や運用、打ち上げなどの費用は2000億円強。

 内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室の滝澤豪参事官は「4機体制の構築によりセンチメートル級の測位サービスを世界に先駆けて提供していきたい」と強調した。


【ファシリテーターのコメント】
 宇宙分野の産業利用として注目される衛星関連分野は、衛星データの入手経路が分かりにくい点や衛星データを利用したビジネスの立ち上がりの遅れといった課題がある。そこで衛星データへのアクセス改善のためデータの種類や保存場所などの一覧化、データ利用拠点の整備などを推進。同時にデータの利活用促進のため、政府衛星データを利用しやすい環境の整備を打ち出した。AI、ビッグデータの解析とその人材の活用、潜在ユーザーである省庁・自治体などと連携し利用拡大と産業化を図る。
 また、「宇宙の利活用で国際的に先駆的な立場にある」(内閣府)というみちびきは数センチメートルレベルの精度の測位能力を生かし、気象や防災、土地利用、海洋資源、交通分野などで活用を進める。すでに自動車や農業トラクターの自動走行、飛行ロボット(ドローン)の自立飛行などの実現を目指した実証実験が企業や大学などを中心に進行中。今後はリモートセンシング衛星やみちびきのデータと地上データを統合した新たな活用手法を創出する。
(日刊工業新聞科学技術部・冨井哲雄)
日刊工業新聞 記者