千代田化工建設は人工知能(AI)を活用し、液化天然ガス(LNG)プラントの操業支援に乗り出す。LNGの生産効率を高めるために、AIが運転条件(パラメーター)の最適な組み合わせをはじき出す。

 エンジニアリング業界ではプラントの稼働状況などのビッグデータを解析し、トラブルの予防に役立てる動きが広がりつつあり、AIの利用も進む見通し。プラントの建設後も収益を確保するビジネスモデルの確立を目指す。

 千代田化工は機械学習やディープラーニング(深層学習)の技術を持つグリッド(東京都港区)と連携しており、プラント事業者向けにAIの活用提案を始めた。原料の天然ガス(フィードガス)の組成割合や冷却装置周辺の外気温などの変化に合わせて、AIが運転パラメーターの組み合わせを示し、プラントの生産効率を最大限高められるようにする。

 エンジ業界でデータの解析をもとにプラントの異常の予兆をつかむサービスが始まっており、千代田化工は先行してAIを使い、プラント運営に踏み込む形で事業者を支援する。

 これまで同社は主にLNGプラントのEPC(設計・調達・建設)を中心としたビジネスモデルで、エネルギー企業の投資動向に左右されやすかった。収益を安定して確保するには建設後のサービスも必要で、今回の提案はその一環。AIの専任部門やプラントの診断チームを活用して事業者の需要を取り込む。

日刊工業新聞2017年8月8日

大手3社の業績は?
 エンジニアリング3社の2017年4―6月期連結決算が10日出そろい、受注高で明暗が分かれた。日揮と東洋エンジニアリングがガス分野の案件を積み上げたが、千代田化工建設は液化天然ガス(LNG)プラントの追加工事などの受注にとどまった。低迷していた原油価格の改善に伴って、エネルギー企業の投資が再開する動きが広がっている。エンジ市場の潮目がようやく変わりそうだ。

 需要の底打ちを示すかのように、日揮はモザンビークの洋上LNGプラントをフランスのテクニップ、韓国のサムスン重工業と共同受注した。

 日揮の受注分が約1500億円とみられ、4―6月期で17年度受注高予想の3分の1強を確保した。東洋エンジもインドネシアのガス処理案件を約200億円、タイの発電案件を約120億円でそれぞれ受注した。「石油化学案件の引き合いも強い」(同社)という。エンジ市場の改善も踏まえて、4―6月期の販管費は前年同期比24・3%増の51億円で、受注活動を強化している。

 一方、17年度受注高予想が前期と同規模の千代田化工は、進捗(しんちょく)率10%程度にとどまった。追加工事や中規模案件を受注し、「受注は想定内」(林大嗣副社長)としている。

 エンジ各社にとって、大型案件への投資が動きだして追い風が吹く可能性があるが懸念も残る。サウジアラビアなど中東4カ国とカタールの断交により、今後は地政学リスクを見極める必要がありそうだ。

日刊工業新聞2017年8月11日

【ファシリテーターのコメント】
エンジアリング各社がAIやビッグデータの活用を加速しており、日揮はNECとデータ解析サービスで協業している。また、東洋エンジニアリングも米ゼネラル・エレクトリック(GE)のシステムを利用し、顧客の稼働を支援している。
明 豊