2017年のアルミニウム業界では、自動車に使用するアルミ材料の設備投資の動きが相次いだ。世界各国の車の燃費規制や環境規制を背景に、車の軽量化が進み、アルミの需要が拡大している。

 UACJは10月末、車のボンネットなどに使うアルミパネル材の国内の生産能力を、20年に現在比4倍の年13万トン強にする計画を発表した。

 神戸製鋼所は真岡製造所(栃木県真岡市)内に年産能力10万トンのパネル材専用ラインを新設し、20年に稼働する方針。三菱アルミニウム(東京都港区)はスウェーデンのグレンゲス(ストックホルム市)と共同で、車用熱交換器向けアルミ板材の北米生産の検討に着手した。

 日本アルミニウム協会によると、車向けアルミ板材の17年10月の出荷量は、すべての月を通じて過去最高となる1万6000トンに達した。乗用車の軽量化に加え、トラックの架台向けの需要も好調。日本軽金属ホールディングス子会社でトラック架装事業を手がける日本フルハーフ(神奈川県厚木市)は、増産に向けて厚木工場の2直化に踏み切った。

 UACJの中野隆喜取締役兼専務執行役員は、車用パネル材の国内需要の見通しについて「今は年5万―6万トン程度だが、20年の段階では20万―30万トンに近づく」と予想する。同社は米国でもパネル材を生産。

 北米市場ではピックアップトラックに続いてセダンのアルミ化が進む見通しで、20年のパネル材需要は年100万トンを超えるとの見方もある。

 中国・天津にパネル材工場を持つ神鋼は、中国の25年のパネル材需要が現在比6倍の年30万トン以上に成長すると試算。こうしたアルミ材の需要拡大の流れは、電池重量との兼ね合いで車体軽量化が必要な電気自動車(EV)の普及でさらに加速する可能性がある。


【ファシリテーターのコメント】
需要拡大に冷や水を浴びせる事態になりかねないのが、神鋼や三菱アルミで発覚した製品検査データの改ざん問題。18年は信頼回復の1年となる。


斉藤 陽一