日産自動車は世界で初めて実用化に成功した可変圧縮比(VCR)エンジンの製品群を拡充する。現在の排気量2000cc以外のタイプへの対応に加え、ハイブリッド(HV)システムの発電用エンジンへの転用を見込む。使用条件の特定や技術開発も進め、エンジンの熱効率を現在の40%から2025年をめどに50%に高める。高出力と低燃費を両立するVCR技術の採用を広げ、内燃機関の環境負荷軽減につなげる。

 VCRエンジンは、リンクとモーター(アクチュエーター)を使ってピストンの上下位置を柔軟に動かす日産独自の機構を採用することで、走行状況に応じてエンジンの圧縮比を8―14の範囲で変えられる。これにより、高出力が必要な高負荷域では圧縮比を下げてノッキング(異常燃焼)を抑え、燃費を高めたい低負荷域では圧縮比を上げて、高い燃費効率と走行性能を実現した。

 排気量2000ccの4気筒ガソリンターボエンジンとして、今春投入する高級車ブランド「インフィニティ」の新型SUV「QX50」への搭載を既に決めている。

 同エンジンは最高出力200キロワット、最大トルク380ニュートンメートルで、排気量3500ccの6気筒ガソリンエンジンと同等の性能を持つ。

 VCR技術は、3気筒などシリンダー数の異なるエンジンでも応用できるとして検討を進める。

【ファシリテーターのコメント】
また、エンジンで発電してモーターで走る日産独自の駆動方式「eパワー」の発電用エンジンとしての活用も想定。作動条件を発電用に限定しつつ、エンジンの燃焼や排熱回収、断熱など既存技術も磨くことで熱効率の一層の向上を目指す。
(日刊工業新聞第一産業部・土井俊)
日刊工業新聞 記者