横河電機が収益力の伸び悩みを踏まえて、事業構造の見直しに動いている。2020年度までの3カ年の中期経営計画を始動させ、稼働するプラントへの投資需要を取り込むとともに、化学や再生可能エネルギーなどの分野を拡大する方針を明確にした。前回の中計では株主資本利益率(ROE)など、いずれの項目も目標に届かなかった。戦略を業績に反映させるために、これからが正念場だ。

 「腰が引けたわけではない」―。西島剛志社長は新中計の目標をこう説明する。プラント向け制御システムが主力の同社は、20年度にROE10%以上、受注高と売上高の成長を年率3―5%などと打ち出した。前回の中計でROE11%以上、売上高4400億円を目指したが、受注環境が悪化して達成できなかった。戦略を転換して収益基盤の拡充に重点を置いた。

 原油価格の回復などに伴ってプラント新設の投資が再開する可能性があるが、狙うのは顧客のプラント操業の効率化投資だ。「(原油関連の)開発投資に依存してはいけない」(西島社長)意識が強く表れている。プラント事業者のコンサルティングにたける英国子会社とも連携、運転改善や保守などの案件を積み上げる。再生可能エネルギー市場の開拓も、資源エネルギーの投資動向に左右されにくくする一環といえる。

 また医薬品や食品産業向けの案件も増やす。受注高を17年度の約100億円から、20年度に200億―300億円まで伸ばす。「生物由来のモノづくりが拡大している」(同)ことから商機を見いだす。自社開発の技術や製品に加え、M&A(合併・買収)も活用して事業のポートフォリオを拡充する。

 前回の中計で設けていた戦略投資枠も継続し、新中計ではM&Aや協業に700億円を充てる方針を打ち出した。産業分野でIoT(モノのインターネット)をはじめとする新技術の活用が進み、外部から成長力を取り込んで、目標達成に弾みを付ける。


【ファシリテーターのコメント】
 横河電機はここ数年、原油価格の低迷などの影響を受けて、収益力が伸び悩んだが、戦略を遂行するスピード感が欠けていたのも要因だ。新中計で事業構造をテコ入れする姿勢を鮮明にしたが、受注環境が回復しつつある状況での業績拡大は待ったなしだ。就任6年目の西島社長の実行力が問われる。
(日刊工業新聞社・孝志勇輔)
日刊工業新聞 記者