厚生労働省は、IoT(モノのインターネット)を活用した熱中症対策の研究支援に乗り出す。産業医科大学を中心に作業員が装着した端末からデータを測定して現場を可視化するなどの先進事例を集め、その効果を検証する。職場での熱中症死傷者数は高止まりの傾向にある。記録的な猛暑が続く中、新たな対策ツールとしてIoTの可能性を探り、熱中症の重症化を防ぐ早期発見・早期対応につなげていく考えだ。

 厚労省は労災疾病臨床研究事業費補助金で支援する。熱中症対策の研究課題で産業医科大学を採択し、研究費として年間600万円補助する。期間は3年。近年、建設や製造現場などでIoTを活用した取り組みが増えており、その調査と有効性を検証する。

 例えば、建設現場の作業員が着衣型のウエアラブル端末で生体情報を収集して現場の気象情報などと組み合わせて解析し、作業員の体調変化に関する情報を通知する取り組みも進む。また高度なデータ分析のみならず、作業員が倒れた際に異常を検知し、熱中症の疑いがあると判断するのにも活用したりする。

 厚労省によると、職場で熱中症で亡くなる人は毎年全国で10人以上、4日以上仕事を休む人は400人を超える。同省は2018年から22年までの5年間で熱中症による死亡者数について前5カ年に比べ5%以上削減させる目標を掲げる。

 そのため、事業者に対し、特に「緊急事態の措置の確認」を徹底するように呼び掛けている。体調不良時に搬送する病院や緊急時の対応の確認を職場で周知し、少しでも異常を感じたらためらわず、救急隊を呼んで医療機関にかかることが大切だとしている。

 過去5年間の業種別の熱中症死亡者数では建設業が41人で最も多く、全体の約6割を占める。次いで製造業や警備業の順。

 こうした事業者へ予防対策を促しつつ、発見・対応までの時間を短縮するIoTの有効性を調査し、被害を最小限に抑えて早期の職場復帰などに役立てていく。



【ファシリテーターのコメント】
ニュースイッチでもIoTではないですが、人体の水分量を電波で可視化して熱中症を予測する研究(https://newswitch.jp/p/13869)を紹介しました。厚労省の支援により、対策に効果的な研究が加速することを期待します。
葭本 隆太