昨今話題の働き方改革を実現する要素の一つに生産性向上があるが、そのために設備投資と並行して教育研修を積極的に行う会社もある。今回は、研修の効果を高めるちょっとしたコツを紹介する。

 研修を行っても効果が出ず、金と時間の無駄という経験をされた方は多いだろう。「研修よりも実践あるのみ」、「オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)以外の研修は無意味」という人もいるくらいだ。私も一時期はそう思っていたが、次のような方法を試すようになってから考えが変わってきた。

 まずはじめは研修の目標設定である。研修の冒頭で、「あなたはこの研修で何を学びたいか、どんな成果を得たいか?」を参加者に書かせ何人かに発表してもらう。これにより、研修での聞く姿勢を高めることができる。

 次のポイントは、参加者をとにかく動かし続けることである。よくある駄目な研修は座学一辺倒のものだ。席に座って話を聞いていられるのはせいぜい30分が限界だろう。参加者に質問、発表、ロールプレーイングをさせたり、また、グループ分けして議論させたりして、主体的に動く時間をたくさん作ることで、飽きさせないようにすることができる。

 次は、研修冒頭の質問の答えとなる「どんな学び、成果を得たか?」を書かせて発表させることである。これにより研修で学んだことをその場でいったん復習してもらう効果がある。

 最後は、「研修で学んだことをいつ、どんな場面で実行するか?」を問うことである。優秀な人は他人の話を聞いてすぐに自分に当てはめてシミュレーションすることができるがほとんどの人はできない。講師役が参加者に働きかけてこれを考えさせ、さらに発表させることで、行動を促すという効果がある。

 以上が研修時間内で行うことだが、さらに行動を確実にするために、メールや社内参加交流型サイト(SNS)等でグループを作らせて参加者同士で実行したことを報告させると良い。これにより互いの監視の目が入ると同時に競争意識や連帯感を高めることができる。

 研修はどんな講師を呼んでも学べる内容はあまり変わらないが、優秀な講師はこのような点を意識しているものだ。主体的に参加させる気持ちを高め、学んだことをいかに実行させるかに力点を置くことを意識していただきたい。
(文=佐々木陽三朗 中小企業診断士)

【ファシリテーターのコメント】
                    
日刊工業新聞 記者