建設ラッシュを背景に業務用空調の需要が高まり、熱交換器の銅管などを接合する「ロウ付け」と呼ばれる作業の技能者が不足している。大阪で国際博覧会(万博)が開かれる2025年まで需要が続く期待もあり、大手各社は対策に乗り出した。ダイキン工業は技能伝承に日立製作所のIoT(モノのインターネット)技術を採用した。三菱電機はロウ付けを自動化する。新晃工業も19年内に最大20億円を投じ、工場の増員と自動化を進める。

 建設業界では、鉄骨をつなぐ高強度ボルトなどの建設資材が不足している。大型ビルや商業施設に使う空調も逼迫(ひっぱく)する懸念がある。

 ダイキン工業は大型ビルや施設全体に、大きな熱源機器を使って冷暖房する「セントラル空調」をフル生産しており、受注の増加に応えにくい状況だ。そこで、家庭用エアコンの生産に採用した日立のIoT技術をセントラルなどの業務用空調にも応用した。熱交換器のロウ付けで、バーナーの角度や距離を記録する。技能を見える化し、新人の育成期間を短縮する狙いだ。

 三菱電機は都市開発に加え工場の環境を改善する需要が高まり、空調の受注が伸びている。そこで冷熱システム製作所(和歌山市)では、熱交換器のうちロウ付けが簡単な部分を自動化した。さらにIoTを使い、経験の浅い技能者も作業を楽にこなせるようにする。こうして余力を作り、技能の高い人材は人手が必要なロウ付けに割り振る計画だ。

 セントラル空調が主力の新晃工業は、子会社の岡山工場(岡山県津山市)と神奈川工場(神奈川県秦野市)の生産を拡大する。工場の作業者を現状比約10%増の約1100人にし、一部のロウ付け作業も自動化する。

 日本冷凍空調工業会によると、セントラル空調に使うエアハンドリングユニットの18年度出荷台数は前年度比1割増で推移する見込み。長らく続いた建設不況でメーカーが減り、人手不足も重なって「すべての引き合いに応じ切れない」(新晃工業の武田昇三社長)状況だ。

 20年東京五輪・パラリンピックの後、25年万博の大阪開催が決まった。建設需要が高止まりする期待もあり、空調各社とも前向きな投資の環境が整いつつある。
(文=平岡乾)