JR西日本の鉄道路線「おおさか東線」が、16日に全線開業する。大阪府東部を南北に走る同線は、新規開業区間の開通で新大阪駅(大阪市淀川区)から久宝寺駅(大阪府八尾市)の約20・3キロメートルが結ばれ、奈良へも直通する。新駅を除く全区間の総建設費は約1200億円。訪日外国人(インバウンド)の利用や、大阪東部の沿線企業でもビジネスチャンス拡大の機運が高まる。

訪日客に期待
 おおさか東線は2008年3月に、同線の中間地点にある放出(はなてん)駅(大阪市鶴見区)から久宝寺駅の南区間(約9・2キロメートル)が先行開業した。今回開通するのは北区間の新大阪駅―放出駅間(約11・1キロメートル)。北区間で「南吹田」「JR淡路」「城北公園通」「JR野江」の4駅を新設し、4駅合わせた乗降者数は5万人を想定する。

 これまで新大阪駅から奈良方面へ向かうには最低1回の乗り換えが必要だったが、同線の開通により約1時間で直結。JR西の来島達夫社長は「観光地である奈良県へのアクセスが向上する。インバウンドにも活用してもらいたい」と話す。

沿線企業に好機
 沿線の企業でも新線開業効果に注目が集まる。製造業約6000社を擁する日本有数の“モノづくりの町”として知られる東大阪市は、同線沿線に複数の工場集積地がある。東大阪市経済部の河内俊之部長は「(新大阪駅まで乗り換えが不要になることで)東京企業との商談が活発化し、つながりが強くなる」とする。「近年、地元企業で増加する医工連携分野は東京の機器メーカーや商社との連携が重要」と、ビジネスチャンス到来と見る。

JR西執行役員の川井正大阪支社長も「日本の技術を支える工場が多く集まる東大阪と新大阪とのアクセスも良くなる。今以上に“モノづくりの町”が広まるきっかけになれば」と同線の役割をPRする。

多様なルート
 9月にラグビーワールドカップ(W杯)が開催される。東大阪市にある花園ラグビー場へは、新大阪から来訪者の利便性も同線の活用で高まる見込みだ。おおさか東線は、乗り換えになるが地下鉄に加え、近畿日本鉄道や阪急電鉄、京阪電気鉄道といった複数の私鉄路線とも交わる。利用ニーズで未知数なところもあるが、多様なルートで可能性を持つ路線であることは確かだ。


(文=大阪・新庄悠、東大阪支局長・坂田弓子)