三井化学は台湾化学大手の台湾塑膠工業(台湾プラスチックス)との提携を拡大する。2019年内にも同社と炭素繊維の調達契約を結び、樹脂と混ぜて自動車向け複合材料の量産に乗り出す。関連技術の共同開発も進める。炭素繊維の安定調達と供給先確保で利害が一致した。電気自動車(EV)などの軽量化に役立つ次世代素材で日台化学大手が手を結ぶ。

 三井化学と台湾プラスチックスは、中国・寧波市でのリチウムイオン二次電池用電解液の製造で提携関係にあり、協業の枠組みを炭素繊維分野へ広げる。台湾プラスチックス製の炭素繊維と汎用樹脂のポリプロピレンなどを混ぜてパイプやテープ状に成形し、自動車の骨格や内外装材、床材、補強材として金属代替需要を狙う。

 三井化学は得意の樹脂技術を生かして炭素繊維複合材料の事業化を目指してきたが、炭素繊維を内製しておらず安定調達先を探していた。一方、台湾プラスチックスは立ち上げた炭素繊維事業の顧客開拓が課題だった。両社は水面下で複合材料の共同開発を進め、一定の成果を得たことで新たな提携に踏み切ることにした。

 三井化学はポリプロピレン・炭素繊維複合材料のプラントを新設する。現在、立地を選定中で、19年内にも決める見通し。第1段として欧州市場で高級車への採用を目標にし、18年1月に買収したアークのドイツ拠点などを活用する。欧州で実績を重ねてコスト低減を図り、日本などへの本格展開を目指す戦略を推し進める。建材など車載以外の用途開拓にも取り組む。

 炭素繊維複合材料は炭素繊維を内製する東レや帝人、三菱ケミカルも力を入れる有望分野。ただ、航空機や風力発電での採用は増えているものの、コスト意識の高い自動車への搭載は当初の想定ほど進んでいない。

 使用する樹脂はエポキシ樹脂が現在の主流だ。三井化学はバンパーやインストルメントパネル(インパネ)で実績があるポリプロピレンを武器に、炭素繊維複合材料の市場開拓を狙う。

<関連記事>
旭化成の「自動車用シート材」巨額買収、決断の裏に東レの存在