経済産業省・中小企業庁は、小規模企業施策に関する「小規模企業振興基本計画」を5月をめどに、5年ぶりに改定する。地域経済の活性化に寄与する小規模事業者を後押しするため、現行の基本的考え方の「事業者の持続的発展」という概念を「地域の持続的発展」に広げるとともに、国と地方自治体の連携を明確化。併せて小規模支援法も改正し、小規模事業者の支援体制を再構築する方針だ。

5年ぶり改定
 小規模事業者は人口減少や高齢化、国内外の競争の激化、地域の弱体化といった情勢変化、自然災害の頻発化など、事業環境は「5年前以上に厳しい状況」(企業庁)に追い込まれている。このため、都道府県、市町村、産業界といったステークホルダーとの関係を強化した支援体制の構築が必要だ。

 改定する基本計画は、四つの目標と12の重点施策案で構成した。計画改定に関連して、今国会に4本の法改正で構成する中小企業強靱(きょうじん)化法案を提出、このうち小規模支援法の改正により、国と自治体の連携を強化した支援体制を整える。

面的支援
 基本計画改定と支援法改正の狙いは、「(従来施策の)個々の事業者に着目するだけでなく、事業者が置かれている地域で考えた面的支援を強化するため」(小規模企業振興課)にある。具体的には、商工会議所と商工会が策定して国の認定を受ける「経営発達支援計画」のスキーム(枠組み)に、新たに自治体との関与を規定。小規模事業者のステークホルダーである市町村と共同で策定するとともに都道府県も意見を言えるようにする。

 小規模事業者の事業継続リスクへの対応能力強化も狙う。商工会議所と商工会が、地域の防災を担う市町村と連携し、事業継続力強化のための支援を行う計画(事業継続力強化支援計画)を都道府県が認定するスキームを新設した。サプライチェーンの維持や災害時に備えた対応強化が、産業郡を成し地域経済を支える小規模事業者の存続に重要なためだ。

BCP策定促す
 管内の事業者への普及啓発や助言指導、災害発生時の対応など商工会議所、商工会に事業継続計画(BCP)策定を促し、連携強化と早期復旧に取り組む。

 小規模事業者の数は14年からの4年間で約29万者減少した。一方、情報技術の発展で情報格差が縮小し、小規模事業者が活躍するための敷居も低くなりつつある。

 基本計画はフリーランスなど新たな事業者の時代に即した経営形態を求める動きを進化させていく必要があると判断。地域の創業や雇用にも結びついているとして施策を進める。


個社支援から面的支援へ
 経済産業省・中小企業庁が5月をめどに改定する「小規模企業振興基本計画」は、小規模事業者に関連する支援のあり方を再構築した。地域経済を支える小規模事業者へのアプローチや、国と自治体の連携強化などを盛り込んだ。新計画案を取りまとめた企業庁小規模企業振興課の西垣淳子課長に聞いた。

 ―基本計画の改定は5年ぶりです。
 「5年前の時以上に地域が疲弊しており、中小企業政策審議会(経産相の諮問機関)の小規模企業基本政策小委員会で政策反映に向けた議論を重ねてきた。基本計画の改定にあわせて、小規模支援法の改正案が、中小企業強靱(きょうじん)化法の枠組みの中で今国会で審議される。議論を重ね、新しい政策展開につながったことが一番(意義が)大きい」

 ―小規模事業者の成長は、地域経済の活性化に欠かせません。
 「地域経済や地元住民の生活を支える上で必要な企業を、いかに維持していくかという問題を各地の自治体が抱えている。地域の疲弊が進む中、事業者の個社支援のみでなく、地方自治体と国が一緒になって地域全体を面的に支援していくことが重要だ。支援法の改正案では、都道府県や市町村の役割を明確に位置付けた」

 ―サプライチェーン単位での支援策が重要です。
 「昨年の西日本豪雨災害では、大企業が事業を再開できたとしても、下請け事業者が再開できなければ、部品供給が止まりサプライチェーン全体に影響が出るといった問題を皆さんが感じていた。事業継続計画(BCP)の策定をはじめ、平時からの対応が大事だ。また小規模事業者は、経営者の高齢化による、廃業の事業承継問題を抱えている。事業継続という観点から、サプライチェーンを担っている人たちの事業継続を支援していきたい」

 ―企業規模にとらわれない、個人事業主やフリーランスが活躍できるような支援策が求められています。
 「これまでの小規模事業者支援は税務指導など会計管理が中心だった。しかし支援策も、新規開拓支援や創業支援など多岐にわたっている。経済のデジタル化はフリーランスのビジネスチャンスの可能性を広げる。フリーランスの支援に力を入れていく」


【記者の目/総力挙げた取り組みに期待】
一連の小規模企業施策の推進には、小規模事業者が日本経済の発展基盤であり、活力の源泉だとの認識がある。事業者の取り組みに向けた課題を自らの課題と考えてきめ細かく対応するため、行政や支援機関には総力を挙げた地域ぐるみの取り組みが求められる。今回の改定はこうした点に配慮している。
(文=山下絵梨)