9月にプレサービスが始まる第5世代通信(5G)は、高速大容量、低遅延、多数接続という三つの特徴を持つ。ただ、5Gという通信網を売るという概念だけでは意味がなく、5Gを使って何ができるのかをセットにしてユーザーに提供しなければならない。

五輪までに100事例
 高速大容量の5G対応機器を開発しても5G対応のコンテンツやサービスがなければ意味をなさない。従来は回線の料金、通信エリア、品質レベルの高いものを提供し同業他社と競争してきたが、今後はいかに良質なパートナー企業と連携して魅力あるコンテンツ・サービスを生み出すことが競争の軸になっていくだろう。

 2018年2月に始めた「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」には現在2300超の企業・団体が参画している。当社とともに5Gの新たな利用シーンを生み出そうと考えている企業・団体に参画いただいており、3月8日には5Gの実証実験やビジネスモデルの事例を紹介したイベントを都内で開催した。ここで5Gのビジネス活用に向け、200近い商談があった。世界が注目する2020年の東京五輪・パラリンピックまでに、100件以上の活用事例を創出する予定だ。

医療や自動運転に
 5G対応サービスのうち一般用ではスポーツ、コンサートの新たな観戦サービスの提供が有力だ。4Kや3次元(3D)映像を遅延なく伝送できる5Gの能力を生かし、会場から離れた場所でも会場にいるかのような臨場感が得られるパブリックビューイングが提供できる。選手の一人としてフィールドに立っているのかのような仮想現実(VR)サービスも期待できる。遠隔地にいる患者の患部を映した高精細映像で大学病院の医師が診察する遠隔医療、建設機械の遠隔操作、自動車の自動運転サービスなど、人手不足に悩む地方の課題の解決にも役立つはずだ。

 ただ、5Gは高周波数帯のため、電波の直進性が高く減衰しやすい。建物などの遮へい物があると電波が届きにくいため、設備投資も高額になる。5G基地局整備は従来のような人口カバー率ではなく、都市部・農村部を問わずスタジアムや病院など5Gが必要とされる場所から順に進めることになるだろう。この際にニーズを見極めながら、限られた原資の中で、どのように5G対応エリアを増やしていくのかが、今後の重要な課題となる。


【略歴】ふるかわ・こうじ 84年(昭59)東大法卒、同年日本電信電話公社(現NTT)入社。13年執行役員、16年取締役常務執行役員法人ビジネス本部長。鹿児島県出身、58歳。