いすゞ自動車と日野自動車が開発、発売した国産初の電動モーターとディーゼルエンジンで走るハイブリッド連節バス。両社が折半出資するジェイ・バス(石川県小松市)の宇都宮工場(宇都宮市)で生産体制を整備するとともに、安全機能の拡充にも取り組む。新連節バスの需要を見込み、開発や生産面での対応も進める。(文=山岸渉)

 新連節バスは全長が約18メートル、定員が120人。ハイブリッド車(HV)として環境面に配慮しつつ、大型ながら日本の道路事情に合わせた小回りの利く形に仕上げた。多くの部品を国産とするなどメンテナンスもしやすくした。

 「経験がない中、通常の路線バスの生産ラインを使いつつ阻害しないような方法をとった」。ジェイ・バスの中井徹常務は新連節バスの生産での工夫をこう説明する。

 宇都宮工場の生産能力は1日約10台、年間で1800―2000台程度。受注に合わせた多品種少量の車両が主で、人手の作業が多い。

 普通の路線バスは車体の形をまず製造し、塗装後にイスや手すり、エンジンなどの各種部品を組み立てる。最後に車両検査という流れだ。

 連節バスでも同じ流れで進むが、前車部と後車部がある。まず前後車部別々に既存ラインで構体製造や塗装をするが、座席などを組み立てる艤装(ぎそう)からは生産ラインを変えた。

 後車室は新たに用意した連節組み立て棟に移してエンジンなどを搭載し、既存ラインで組み立てた前車と後車を連結する。検査に関しては連節バスは全長が長く、従来の検査棟では入りきらないなどの課題もあり、新たな検査棟も設けた。設備を含めて、年間17台の生産が可能な体制を整えた。

 生産を安定させる一方で、多くの人を運ぶ連節バスとして特に求められるのが安全性だ。新連節バスでは、運転者の急病時などに非常ブレーキボタンを押すと車両を減速、停止させる「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」も搭載した。いすゞと日野自は輸送効率の向上などを図る高度道路交通システム(ITS)の共同開発を進めている。ITSに関連した、速度を制御して狙った場所に精度良く停車する「正着制御」や、車間距離の維持を支援するシステムなどの導入も視野に入れる。

 連節バスは、2020年の東京五輪・パラリンピックなど大型イベントで多くの人を運ぶ移動手段として需要が見込まれる。開発面での改良や、生産面での体制整備を通じて安心・安全な運行に貢献する考えだ。