凸版印刷は労働災害の予防を目的とした教育活動に仮想現実(VR)技術を活用する。オフセット輪転機の印刷ローラーに手が巻き込まれる様子を再現した「巻き込まれ体感機forVR」を開発。8月からトッパン研修センター(埼玉県川口市)内の教育施設「安全道場」で稼働する。

 体感機は、印刷機のローラーを模した装置とヘッドマウントディスプレー(HMD)で構成する。専用の手袋を装着してローラー部分に触れると、手がローラーに巻き込まれる様子を再現したVR映像がHMDに映し出される。映像に合わせてローラーに巻き込まれる疑似体験ができる。HMDに映る映像は装置上部のモニターにも表示する。

 言葉で説明するよりも、被害の重篤度や危険性を効果的かつ短時間で伝えられる。製造現場の高度化や省人化で、労働災害につながる危険要因が分かりづらくなっており、教育効果の高い安全指導を導入する。

 凸版印刷はトッパン研修センターを含む国内外の計5カ所に安全道場を設置している。今後は他の拠点にもVRを使用した危険体感機を順次導入する。

 印刷ローラーに巻き込まれる可能性のある場所や業種が限られていることから、体感機の外販は需要に応じて検討する。同社はこれまで観光や文化振興、自然災害対策などの分野でVRコンテンツを作成しており、安全・防災教育でも開発や外販を進める。

 トッパン研修センターの安全道場は、社内研修の他に外部の研修も予約制で受け入れている。2010年の開設から現在までの受講者数は社内外合わせて約3万人に上る。

【ファシリテーターのコメント】
労災発生時の映像の再現度は結構高いとのこと。小心者の自分には試せなさそうです。厚生労働省の調査によると、2018年に発生した機械への「はさまれ・巻き込まれ」による死者数は113人。前年から2割近く減ってはいますが、警鐘を鳴らし続けることが重要です。
国広 伽奈子