政府は31日、「ムーンショット型研究開発制度」のビジョナリー会議を開き、研究開発目標の方向性を決めた。少子高齢化の克服と地球環境の回復、新たな技術開発の三つの目標を定め、達成に向けた25の課題を策定。今後、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者会議などで実現可能性を検証しながら、25課題を5―10課題に取りまとめ、年内のCSTI本会議で決定する。

ムーンショット型研究開発制度は、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される野心的な目標を国が設定し、その実現に向けて国内外からアイデアを募る研究開発プログラム。ビジョナリー会議では、アバター(分身)やロボットを介すことによる身体的制約を超えた活動の実現や、ゴミゼロの実現など、世界的に関心が高く、共同研究を見込める25課題が示された。

ムーンショット型研究開発制度は、2018年度補正予算において5年間で1000億円が盛り込まれている。内閣府の平井卓也科学技術担当相は、「海外からも研究に参加したいという声がすでに聞かれている。ムーンショット型研究開発制度の1000億円をシードマネーに、同額程度を基礎研究費として獲得を目指したい」と話した。

ミッション目標例の25項目は次の通り。

(1)50年までにサイボーグ化技術の実現(人間拡張技術)
(2)40年までに移動の完全ユビキタス化を実現
(3)40年までにほぼ全ての人のほぼ全ての行為と体験をアバター経由で実現
(4)35年までに高齢者のQoLを劇的改善
(5)40年までに予防措置・ウエルネスが主流となる生活の実現
(6)40年までに「どこでも医療アクセス」実現
(7)40年までに農林水産業の完全自動化を実現
(8)40年までに建設工事の完全無人化を実現
(9)50年までに現在の1/100の資源ロスで現在の生活水準が維持可能な工業生産・利用の実現
(10)40年までに、単位計算量当たりエネルギー消費を1/1000に
(11)60年までに持続可能なエネルギー独立の達成
(12)50年までに完全資源・物質循環の達成
(13)50年までにフード・ロスをなくし、全ての人々に必要な食料を効率的に届ける
(14)50年までに地球上からの「ゴミ」の廃絶
(15)50年までに環境中立で最高水準の生活を可能とする大都市の実現
(16)50年までに生物多様性を増大させる農業を地球規模で実現
(17)50年までにテラ・フォーミング技術を確立
(18)50年までにノーベル賞級の発見を自律的に行うAI&ロボットシステムの開発
(19)50年までに生命現象をデジタルモデル化し、その制御を実現
(20)50年までに人工冬眠技術を確立
(21)50年までに全神経回路網とその関連組織を完全デジタルコピー/モデル化
(22)50年までに汎用型量子コンピューターネットワークを実現
(23)50年までに海洋・地下を網羅的・高精度に測定し可視化・監視
(24)50年までに太陽系内全天体等の定常的観測網とサンプルリターン体制の構築による宇宙状況監視の実現
(25)35年までに宇宙空間で稼働する高機能・多自由度ロボット・人工衛星群の開発