慶応義塾大学理工学部の小池綾専任講師らは、3Dプリンターを利用し、振動吸収性や断熱性などを持つ“スポンジ状”の金属積層物を作る技術を開発した。金属や発泡剤を混ぜた粉末材料を基板に吹き付けレーザー光で溶かし積層。材料の温度を自動で調整し、均一な性質を持つ高さ10ミリメートルの積層物を作れた。軽量化や振動吸収性などに優れるため、飛行機や自動車の部品などへの利用が期待される。

 詳細は12月13日に東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれる「第20回慶応科学技術展(慶応テクノモール2019)」(日刊工業新聞社後援)で紹介する。

 研究グループは、金属材料にレーザー光を当て溶かしながら積層する「指向性エネルギー堆積法」を利用した。同手法での積層技術は航空・宇宙産業での大型で複雑な部品の製造に使えると期待されている。だが積層物の内部に10マイクロメートル(マイクロは100万分の1)程度の空孔ができるため、強度への影響が問題となっていた。

 そこで逆に空孔を多く含む「ポーラス金属」を作り、軽量で断熱性などの機能を付加した金属材料の製造手法を考案。金属材料としてステンレス、発泡剤に水素化チタン、界面活性剤にテルルを混合した粉末を積層材料として利用した。

 材料の比率を変えることで、ポーラス金属の積層物と空孔がない通常の積層物を交互に積むなど、造形点ごとに密度を自由に変えられる。さらに堆積物内部に空洞を閉じ込めた構造物を作れる。

 さらにレーザー光の出力を自動的に調整するシステムを導入。上層での積層ではレーザー光の出力を下げ、金属が溶けている領域の温度を積層物の高度によらず一定にすることで、空孔率30%、高さ10ミリメートルの積層物を作れた。今後空孔率60%を目指す。航空機や自動車などの部材に適用できれば3―6割の軽量化が見込める。

 従来手法では、レーザー光による過熱で泡が壊れ、空孔率が下がり、高さ5ミリメートル程度のポーラス金属の積層物しか作れなかった。

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